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コペンハーゲンのジャズバーを3軒ハシゴしてみた

夜遊び宣言してたのですが、やりました。ジャズバー3軒ハシゴです。

デンマークでやりたいことリストにジャズバーに行く、というものがありました。Noteにはこれまで書いていませんでしたが、僕は学生時代にジャズ研に入ってベース(ウッドベース=ダブルベース=弦バス=でっかいバイオリン)をしていたことからジャズが好きで、たまにライブもしています。コペンハーゲンは数多くのジャズメンが過ごした町で、その名前を題した曲もあるほどです。

しかし、そもそも日本でもひとりでお店に入る勇気があまりないわたくし……。

それに加えコペンハーゲンでも忙しかったり(飲み会で)、気力が出なかったり(飲み過ぎで)、時間が遅くて(行く前に飲みすぎて)行く気にならなかったりでなかなか……。

でもデンマークに来て5週間が経ち、国内をあちこち周り、仕事にも生活にも慣れてきて勇気が出てきました。

あとはよくよく調べると、5・6月はライブをやってないお店もあります。なぜかはわかりませんが、7月からジャズフェスがあるのでその準備等もあるのかもしれません。早く行かねば、と思ったのがきっかけになりました。消極的な理由ですが、やっぱり何か理由があると行動のトリガーになりますね。

結論からいくともっと早く行けばよかった。ほんと、やる後悔よりやらない後悔です。

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デンマークに到着した3月中旬はまだまだ暗く、日没時間は日本の冬くらいの感覚でしたが、日に日に日没が遅く、空は明るくなってゆきます。日本にいると「そういえば最近明るいなぁ」と徐々にそれに気づくのですが、デンマークの場合、変化がめちゃくちゃ早い。「あれ、先週もっと暗かったような気がする…」って時間でも明るい。

夜遊びに出かけた日、家を出た割と直後の空はこんな感じ↓

20:30でこの明るさ
日本の同時期の18:00くらいな感覚

明るくて素晴らしいです。実はコペンハーゲンのジャズライブはどこも21時から始まるのがスタンダード(20:30のところもある)で、21時ってもう夜だし、そんな時間からライブに行ってたら翌日きついよなぁ・・・というのも一歩踏み出す障害となっていましたが、この明るさだとそれが緩む。

コペンっ子の皆さんもこの時間だとまだまだ遊んでます。↓

舟遊びの方々。でもへ先に立つ必要ある?

ということで歩くこと約15分、あっという間に本日の目的地に到着しました。目的地の名前は"Paradise Jazz"です。

でも探せど探せどそんな表示はない。地図はここを指しているが…。

Huset

中に入ってみます。するとすぐにちょっとした野外カフェみたいなコーナーがあり、その奥に入口があります。

くるりと振り返るとこんな感じです。紫色のアーチ部分をくぐって中庭に入ってきたところです。

賑わってます。

上方に使徒襲来してますけど…。

第十使徒サハクィエル

メインの入口っぽいところに近づくと、満席と表示がありうろたえますが、実はこれ1階(デンマーク式0階)のこのカフェのみの表示のもよう。紛らわしい。Husetというのはこの建物全体の名前なのかもしれません?

しかし、paradise jazzのポスターは貼ってあるので間違いはなかろう。とりあえずトイレに行って心を落ち着けよう……と思ったらなかなか落ちつけないトイレ……。

サイケデリック

階段のところに行くとどうやら上の方、4階(デンマーク式3階)にmusic cafeという場所があるようなので、とりあえず登ってみることに。

するとすんなりありました。2階(デンマーク式1階)に。

2階(デンマーク式だと1階)に上がるとポスターが。

お店はStardustという名前でした。デンマークではTicket Master等のウェブサイトでeチケットを購入したりレストランで席の予約をしたりすることが一般的なようで、このライブもeチケットで購入可でしたが、冒頭に書いたようになかなか勇気が出なかったのでat doorで払いました。

「チケット代は現金 or MobilePayしか受け付けていない」と言われ、「わかった現金で」と言うと「デンマーククローネしかダメなんだよね…持って…る?OK!ナイス!」という感じだったので、観光客でMobilePayも使えないアジア人が持っているのはユーロだろうなと思っていたのかもしれません。

ちなみに、現金はバーカウンターで両替してくれるそうです。別の店で聞きましたが、ミュージシャンにすぐギャラを払うために現金が好まれているようです。

特にワンドリンク制など言われませんが、ビールを調達。

メニューは飲み物のみ

席も自由です。人数的には15名くらいかな?正直ガラガラだったので前の方に陣取ります。

お洒落。

席にはチラシが。他のお店は週末だけが多いようですが、このお店(イベント)は平日にもやってます。

4月だけで11件、3日に1度はライブがあっている計算

この4/24(月)のMonday Night Big Bandはぜひ行きたいと思ってチケット係の人に聞くと、「ごめんけどそれは俺はわからん。あそこに座ってる帽子をかぶったマダムが知ってるから聞いてみ」と言われ行ってみる。既にビールを飲んでいるので怖いもの無しですw

曰く、「それビッグバンドだからここじゃ手狭なのよね。だからtop floorでやるのよ。チケット?そうねー結構人気だから早めに買っておいた方がいいわよ。ヨロシク。」的な感じでした。

スマートながらマクゴナガル先生みたいな、女主人的な感じだったので誰なんだろうと思ってたら、ライブに先だってアナウンスをしていたので、Paradise jazzの主宰でもしている方なのかもしれません。

この日はポーランドのバンドで、tp/ts/ts/pf/ba/ds(トランペット、テナーサックス×2、ピアノ、ベース、ドラム)のsextetでした。なぜテナー2本なのかはよくわからなかったですが、一番右のtsのおっちゃんはクラリネットも吹いていました。

赤いうじゅたんが絵になる
よさげなベース

肝心の内容はと言うと、あまり詳しくないのですが、コンテンポラリーな感じで……よくわかりませんでした。お決まりのイントロやって~テーマやって~ソロやって~テーマやって~という流れでもなく、不思議空間を作り出す感じの音楽でした。ただすごく息が合っていて、何拍子かも判別できない、テンポもどう取るのか?みたいなところでおそらくテーマのメロディーである旋律をバチっと合わせていたのには驚きました。

とはいえ、とっても申し訳ないながらこれを2セット聞く気になれず、1stセットが終わったところで退散。ライブはやっていないことを承知で下見のつもりで次のお店に。La Fontaineという近くのジャズバーです。

こちらもなかなかのわかりづらさ。中二階みたいなところ(デンマーク式1階)にあります。Paradise jazzに比べるとまだ看板があって入口も一つだけなのでまだ良いですが…。

看板も置いてある
階段を上がるとこんな感じ。モノクロでシックです。

ドアを開けるとすぐにステージが出迎えてくれます。アップライトピアノとドラムセットが備え付け。

右手に行くとバーカウンターがあり、そこで店員のお兄ちゃんに色々話を聞きます。今日はライブやってなくて週末だけなんだよね、日曜日はセッションもあるよ、この辺は他のバーもあるよ…と色々教えてくれる。MOJOというブルースバーとホワイトラムという店はそれぞれ毎日ライブをしているそうです。

バーカウンターの席はなぜか2つだけ。そしてステージも見づらい。ライブのときはテーブル席に行くか、このバーカウンターの一番ステージ側に行けばいいかもしれない。

検索すると、教えてもらった「ホワイトラム」は今日も23:30までライブをやっている模様。もう疲れたし地下鉄で帰るだろうから、その道中にあるこのお店に行くのはちょっとした寄り道であると考え、また来るね、ありがとう、と伝えてお店を後にする。

ものの5分くらいで到着。さすがに平日の夜で人は少なくなってきていた。

お店にはこんな掲示が。わ~本当に毎日(日曜日も)ライブやってるんだなぁ。今日は木曜日だからFRETAGの前のTORSDAGで、VOKALTORSDAGか~TORSDAG=木曜日だとしたらVOKAL+TORSDAGで「ボーカル木曜日」だな。サイコーじゃないか!ということで即入店。

その他のバンドは一生懸命検索しても何者か不明。あと7回行ってみるしかない。
ビールの種類も豊富です。

中は正直狭くて人で一杯。でもこのギュウギュウ感が逆に良い。たぶん20人で一杯、立ち見とか追加の椅子を入れれば30~35人は何とか行ける、くらい。ステージなどもなく、フラットな感じ。

アットホームな雰囲気。

入ってビールを持って眠りこけているおっちゃんに断って同じテーブルに座らせてもらうと、いきなりキーボードとピアノで演奏が始まりました。Chick CoreaのSpainです。お客さんの中で若い男性が一人反応してサビ?のところで手拍子してました。自分も自然発生的に手拍子。

終わったあとの会話。「ねぇこの曲何だったっけ?手拍子してたから知ってるでしょ?スペイン!?そうか!!ありがとう!!」

お花も活けてあってステキ

スペインはお遊びだったようで、ほどなく演奏開始。
この日は(なのかいつもなのかわからないが)ピアノ、ベース、ギター、ボーカルという構成でした。ピアノはアップライトが備え付け。ベースは壁に立てかけ用のリングがついているので、お店の楽器なのかもしれません。

Everything happens to me, All of me, Corcovado等のどスタンダードが、ややかすれ気味の女性ボーカルによって歌われていく。ピアノ、ギター、ベース、皆さん超ウマです。別のお店も出演者はほぼプロでたまに誰かが引退したら学生が新たに入って育っていく…という感じだと言っていたので、この皆さんもプロなのでしょう。

MCはデンマーク語(たぶん)なので全くわかりませんが、曲名も歌も英語。そして世界共通の音!ヨソ者にとってのホームを見つけた気がしました。

サイコー

夜は更けてゆき、23:30すぎに退店、帰宅しました。
(今気づいたけど、翌日なんか眠い、ビールが効くなぁと思ってたら木曜日から夜更かししたからか……)

ちなみに同席したおっちゃんは最後まで完全に寝てて、ライブが終わった瞬間に店員さんに起こされてました。いつものことなのかも。それもまた幸せ。

帰りはちょうど日本時間の朝と時間が合ったので、家族とLINEビデオ通話しながら帰りました。

家を出てからわずか3時間で3軒をハシゴし、最後にはナイスなジャズバーも見つけ、ちょっと長いけれどとても楽しい一日になりました。

家族、仕事、地域、趣味、色々な関係や居場所があるけれど、自分のホーム(家族・会社・日本)から遠く離れてもそこに居場所が存在しうる趣味とは素晴らしいことだと思いました。

今日は、Jazzにtak!

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