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網羅感を出さない列挙・出す列挙

ある時、人のプレゼンをレビューしているとき、こんな感じのスライドに出会った。(実際のスライドとは少し変えてある)

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ほぼ1ページ目にこのようなスライドが来ていた。
これだと、聞き手としては違和感を感じてしまうと思う。

上の表には8行あるが、データ活用の課題はこの8個です!
・・・と言いたげなこのスライドを見ると、

「なんでこの8個?」

と思ってしまうことだろう。1ページ目はすんなり行きたいのに、いきなりひっかかってしまう。ひっかかってしまってこの先の内容が入ってこない。

このようなスライドの添削方針としては、まったく真逆だが、2方向ある。どちらも アリ だ。

1.網羅感を期待させないデザインにする
2.網羅感を感じられる項目化を行う

1の方向だとたとえば以下のような添削結果になる。

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これだと違和感がなくなる。こういうデザインにすると、聞き手が網羅感を期待しなくなるからである。色々ある課題のうち、代表的なものをサンプリングしたんだなという印象になる。逆に言えば、最初のデザインは、表状になっていたため(あるいは箇条書きになっていたため)、聞き手が勝手に網羅感を期待する状態になっていた、と言える。なぜかはっきりと分からないが、人は表デザインに網羅性を期待してしまうようだ。だから、「ほんとにこの8個が課題なのか?」という聞き手のツッコミを誘発してしまうことになる。添削後の吹き出しデザインのように、ぱらぱらと散りばめて配置すると、網羅感の期待が(なぜか)消える。

2の方向での添削例も表示する。この場合、たとえば以下のようになる。

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8個から3個に減っている。項目が少ない方が網羅感を出せるというのは人間の不思議さだな。あくまで網羅「感」なのかもしれないけど、準備・分析・活用という、ある程度レベル感のそろっている3つの単語を並べて、かつ、プロセスの順序を感じさせる並びにすることで、「網羅感がある」という感覚を与えることができる。最初の表に入っていたような8個はあくまで例として右列に書くと、「なぜこの8個?」みたいなツッコミをされることはない。

以上が、「網羅感を出す列挙」と「網羅感を出さない列挙」を考えて使うべき、という話題になる。

ちなみに、このスライドをめくると次のページはこうなっていた。

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ここから、経営者のスキル向上が必要という話につなげていくストーリーにしたいようだが、このスライドだと、そこにつながらない。
8個並んでるものの中で、どうしてその3つに◯がついているのか!?...というところに違和感を感じてしまうからである。

これを添削する方法にも2通りある。

1.他の項目ではなくこれらの項目に着目する理由を説明する
2.「どれも大事だけど、このプレゼンではここに着目して話す」とする

もちろん1の方が律儀なやり方だけど、あと20分後にクライアントに提出しなきゃ、という時でもできる小手術な方法としては2もおすすめである。添削結果はこんな感じ。

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ずるいようだけど、これで、すっと次の議論に入っていけるので、プレゼンターとしても聞き手としてもそれがWINである。

以上、プレゼン添削の実況中継でした。

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