【感想】ユーザー中心組織論
きっかけ
SNSでいつも共感する投稿をされていて、勉強させていただいている金子さん(@tsuyoshi_osiire)が本を出されるというので飛びついて読ませていただきました。
折しもデザイン経営を学び、デザインやイノベーションの組織へのインストールにあたっては組織ごと変わる必要がある、と私も考えていたので、こちらの本は深い共感とともに読ませていただきました。
私の過去の投稿
デザイン組織
https://note.com/goofygoof/n/n69d446ec39b0
https://note.com/goofygoof/n/n5df078e76e22
https://note.com/goofygoof/n/ne41922224b08
デザイン経営
https://note.com/goofygoof/n/n69d446ec39b0
https://note.com/goofygoof/n/nb2c54cd53cee
イノベーション組織
https://note.com/goofygoof/n/n69dedaada573
https://note.com/goofygoof/n/n8c28e1a7b8e4
書き出しからエモい
ユーザー中心とか、組織論とか、デザインの「それ系」の本は、ラスコーの壁画から始まり、産業革命やアーツアンドクラフツなど、歴史から紐解いていく本が最近多いです。個人的にはそのような本からたくさん勉強させていただいてはいるのですが、いささか同じ内容を違う本で読むのも疲れておりました。
金子さんがどんなアプローチするのかな、と思っていたところ、金子さんの経験談や、必死にもがいたエピソードから始まりました。
これは、事業会社や支援会社で挑戦し、もがき、現状を変えようと、組織に対して課題意識を持つ我々のような等身大のデザイナーに響くものでした。
一気に本の世界へいざなわれ、「そうそう!」「あるよね!」「ほんとうにそうだよね」と頷きながら一気に読了しました。
また、間に効果的な挿絵が挿入されており、理解の助けとなりました。
本の内容は買って読んでいただくとして、共感が深かったところをピックアップしていきます
小さな行動でモノづくりは変わる
トップダウンとボトムアップ
どちらであるべきか、みたいな議論もありますが、そのような上下関係や相対する方向で議論していくものではないのだなと思いました。どちらか一方に変革を強制するのではなく、共に行動を少しずつ変えて一緒に動いていく、そのために「心」にアプローチする重要性を感じています。
MVVのような上意下達ではなく 心=パーパス、理想像 に共感する集団で始めるということですね。
「あなた」からはじめよう
多数のユーザーの心を動かして行く前に、目の前にいる仲間の心を動かせないと、なにも始まらないでしょう。その心を動かす手段としてフレームワークなり知識はある。フレームワークを使うのが目的ではないし、必ず成功するわけではない。そこの履き違えをしないように注意したいものです。
デザインだけでなくアート、ロジカル、リーン、アジャイル・・・
それぞれのアプローチや使う道具は違えど、芯の部分のマインドセットはすべて同じことを言っていますよね。
その芯の部分が語りだす何か、それを可視化していくのが、先導役としてのデザイナーの役目かなと思います。
「自分」に奥深くまで向き合った結果として、
モチベーション駆動で作り上げられるときの思考の飛距離、
あと自分自身のその対象への情熱、コミットメントが、
0→1のイノベーションには大事な気がしてます。
価値の中心は機能から意味へ。
だからユーザーに聞くのではなく、観察して、共感する。
そのために問いをたて、解を共創していく。
デザイン思考が提唱されてからこちら、この方法論が黄金律として使われています。肌感では、まだまだ浸透していないところも、業界によってあるように思います。
組織の内からの変革に輪をかけて難しいのが、外からの変革です。
我々は
「機能から意味へ」「共感」「共創」
これらの重要性についての認識を、もっと広げていきたいと考えています。
「兆し」を可視化することで、よりよい未来へ変革していくのが我々のしごとだと思います。
アフターインターネット時代の経営に、なぜデザインが召喚されているか。
経済の仕組みがかわり、いままでのデフォルトがデフォルトでなくなり、価値観の大転換が起こるからです。
その価値転換に必要なのがデザイン。
デザインの本質は、現状をどうより良くしていくかの試みです。
そのために、企業としては、人を真ん中に置いて、豊かな生活をみつめていくことが必要。それが、企業という存在の本質と繋がっていきます。
目の前のデザインだけではなく、その先の実現したい社会ってなんですか?
それらを問いつづけ、答えについて違和感を持たずに集まれる、そんな組織がこれからの強い組織なのだと思います。
なにが「正しい」のだろう?
正しさとは何か?正しいとはどういうことか? 結局、現在から未来に向かって正しさを定義することはできない。
いま、現時点で、理念がロジカルか、崇高かどうかではない。
正しさとは、最終的に勝った者によってその者自身を正当化し、場合によっては敵を取り込んだ上で、後から正しいと記録されていく定義である。
これは人間が宗教を発明して以来連綿と続く、「正義」の解釈といえる。
その視点でミッションを改めて見直してみても、味わえる。
強い個が、敵をつくって敵を滅ぼして勝つのか? 全てを味方に取り込んで勝つのか?
私達は、だれにBETすべきなのだろうか?
最後に
この本は、組織の重要性について気づきはじめるミドルマネジメントが興味を持ちそうですが、わたしは新卒や駆け出しのデザイナーこそ、読むべき本だと思いました。
デザインコンサルタントや、戦略コンサルタントや、事業会社の経営企画や、プロダクトマネージャーが日々している仕事、その第一歩が示されています。
金子さん、ありがとうございました!
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