「もう指摘するの勘弁して!」と思ってしまう、センスない提案書の書き方 (1)混乱させてくる系
以前、提案フェーズで「伝わる」提案書をつくるにはどうすればいいか?
に関して、私が気をつけているプロセスを書きました。
社内でも、これをベースに「ドキュメントコミュニケーション」の勉強会を開いたりして、それなりに好評ではあるのですが、実践にむけては壁があるようです。
実際にこの考えのもと、私は資料のレビュー等をする立場にあるのですが、レビュー対象者が替わってもしょっちゅう指摘しているポイントがあるなあ?と感じたので、それをまとめることにしました。
そしたら、レビューする前に「これ読んでおいて!」と投げられるな、と書きながら気づきました。
このnoteの内容
ここを気をつければ…という基本的なアンチパターンと、
どうすればそれを避けられるか?を(1)〜(3)の3回シリーズにまとめてあります。
(1)混乱させてくる系
(2)不安にさせてくる系
(3)独りよがり系
これを参考にすれば、資料作成の残りの力を主題部分の説得力向上に向けられるかも?
センスない提案書の書き方
(1)混乱させてくる系
まず今回は、混乱させる系です。
混乱させるので、提案書の中身を理解してもらえないです。
①話の順番がいったりきたりする
どういうこと?
人間、思いついたとおりに書き下ろしてしまうと、このようになりがちです。
わかりやすくする必要に迫られても、書いたものがもったいないので、新たに書き加えたりせず、すでに書いたものの中だけを、「起承転結が〜」とか「テンポが〜」とか雰囲気でさらに並べ替えてしまいます。
もうこうなるとぐちゃぐちゃです。
このようなものを読まされた読み手は?
「今何を言っている?」
「さっきなんて言ったっけ?」
「次なにを言うのか?」
を注意しているうちに、情報が頭の中から消え去ってしまいます。(短期記憶が長期記憶に移行できずに消えてしまいます。)
「人が一度に記憶できる・処理できるのは7±2個」(ジョージAミラー)
「人は4個の事柄をワーキングメモリに貯められる。さらにチャンクにわけてグループ化することで、ワーキングメモリの利用量を圧縮できる」(アラン・バッドリー)
どうすればいい?
書き下ろす前に、まず
・誰が、どの様に使うための資料なのか?
・何を達成したいのか?
・相手はどのようなことが気になっているか?
を書きだしてください。
そして、その段階で、話の順番をテキストで整理してください。
整理した後に、各ポイントに肉付けするように情報をテキストで付け足していってください。
そうして書き下ろしたものをもう一度読んで、詰まるところがないか確認しましょう。
パワポのシートにまとめるのはそれからです。
「パワーポイントをいきなり開いてしまうとドツボ」の理由はそれです。
あと起承転結、あれは人を感動させる物語のストーリーテリングです。
人を説得する提案書に、感動の演出はいりません。中身・主題で感動させてください。
②話が飛ぶ
どういうこと?
①に似ていますが、
人間、思いついたとおりに書き下ろしてしまう、それは仕方ありません。
しかし、あなたの脳内だけにある謎の繋がりを、読み手が全員理解しているわけではありません。
このようなものを読まされた読み手は?
いきなり異次元にワープしてしまうので、あ、またワープくるのかな?じゃあ今の戦いは無駄だな、と学習して、目の前のことを受け取らないようになります。
どうすれば?
シートに書きたいことを並べ終わっているとします。
それぞれのシートに、リード文と結論を書いてみてください。
そして、前後のページで、前ページの結論が次ページのリードに繋がっているか、確認してみてください。
こういう背景があるので、これが結論なんです!
というより、
この背景からこういう課題があります。
この課題には、こういう解決策が考えられます。
よって、これが結論です。
と話されるほうがわかりやすいですよね?
また、大事なポイントが繰り返されることにより、記憶に定着しやすくもなります。
繋がりが切れていいのは、大きなセクションの区切り(例えば、効果からスケジュールとか、スケジュールから体制に行くところなど)だけです。
その区切りも、できるだけ流れを切らないようにするのが理想です。
③細かいことから言う
どういうこと?
あなたの脳内には、それなりのロジックがあり、繋がりがあるのでしょう。
しかしその細かい話は、結局どこの話をしているのですか?
このようなものを読まされた読み手は?
細かい部分について、全体の内のどこのことなのかを理解しようとするうちに、短期記憶の容量があふれてしまい、情報が頭の中から消え去ってしまいます。
どうすれば?
書いているものは、全体の中のどの位置にあるのか?を常に意識するようにしてください。もし上の概念があるのなら、まず上の概念から説明して、ブレイクダウンしていくとよいと思います。
まずこれが・・・そしてこれが・・・さらにこれが・・・
先程申し上げたのは、○○のAという課題を解決するための策で
ほかにBというのが・・
と話されるより、
課題はAとBです
Aの解決策は3つあります
解決策その1は・・・・
と話されるほうがわかりやすいですよね?
ほかには、ロジカルシンキングの勉強をして、ピラミッドストラクチャーを学ぶのもよいかもしれません。
④同じことを指すのに使う言葉が違う(もしくは違うことを指すのに似た言葉を使う)
どういうこと?
複数人で作ったり、何日もかけて作ったりするとそうなりがちです。
あるいは、自信のないことについて述べるときに、予防策として使いがちです。
このようなものを読まされた読み手は?
え?さっきと同じような言葉が出てきたんだけど同じことなのかな?敢えて違うことをいっているのかな?と混乱しているうちに、読み手の脳内から情報が消え去ってしまいます。
どうすれば?
一度、意識して読み直すか、検索機能で重要な単語を検索してみて、あるはずの箇所、ページが飛ばされていないか確認してみてください。
ありがちなのが
・ 合成語。「○○シンキング」と「○○思考」等のパターン。
・「・」や「 」が省略されるパターン。
・ 略語とアクロニムと正式名称。
などです。
次回、(2)不安にさせてくる系に続きます。
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