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【感想Day2】「デザイン経営2020」Withコロナ/Afterコロナを創造的に生き抜くには

どんなセミナー?

先日Day1が行われた『「デザイン経営2020」Withコロナ/Afterコロナを創造的に生き抜くには』の、Day2が開催されました。

前回は「デザイン経営とは」や「デザイン経営することの難しさ、課題感」を先端の識者を交えてディスカッションする会でしたが、

今回は、
・大企業でのデザイン経営実践
「デザイン」としての活動で先頭をはしる大企業SONYさんと富士フイルム株さんの組織におけるデザイン経営の実体と、中の人がどんなことに気をつけているか
・中小企業でのデザイン経営実践
ロフトワークさんの「デザイン経営レポート」に掲載もされていたスギノマシンさんと福永紙工さんの組織におけるデザイン経営の実体と、中の人がどんなことに気をつけているか
でした。

ちなみに前回の感想はこちら。

16:00-17:00
Session1「大企業のデザインリーダーに聞く、これからの経営とデザイン」
ソニー株式会社 VP. クリエイティブセンター センター長 長谷川 豊
富士フイルム株式会社 執行役員/デザインセンター長 堀切和久
株式会社ロフトワーク 代表取締役 林 千晶(モデレーター) 

17:15-18:15
Session2「中堅、中小企業の経営者に聞く、デザイン経営の実践」
福永紙工株式会社 代表取締役 山田明良
株式会社スギノマシン 副社長執行役員 経営企画本部長/新規開発部長 杉野岳
株式会社ロフトワーク イノベーションメーカー/執行役員 棚橋弘季
株式会社ロフトワーク マーケティング 岩沢エリ(モデレーター)

18:15-18:30
Closing「いまからデザイン経営をはじめたい経営者、リーダーの方へ」
株式会社ロフトワーク 代表取締役 林 千晶
株式会社ロフトワーク マーケティング 岩沢エリ(モデレーター)

何を期待した?

前回は視聴者での視座の違いが大きすぎ、「デザイン」「デザイン経営」の定義から合わせる必要があったように思います。

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Q&Aも「デザイン経営の定義」に質問が集中していたようです。でもそれって人にきいて「はいそうですか」となるものなのでしょうか?私は疑問があります。

定義を聞く前に、自らやってみて、その差分を質問する。そうして初めて身につくものだと思うし、「自らやってみる」っていう価値観がデザイン経営、むしろデザインという営みの今回にあるものだと思うのです。

今回は、そういう意味で、「自らやってみた」企業さんたちがあつまり、リアルな話を聞けるかなと思いました。

とくに
・「デザイン経営」をどう捉えているか?
・そもそもデザインをどう捉えているか?
・大企業・中小企業での共通点、相違点
みたいなものを知ることができればと思いました。

どうだった?大企業編

Session1「大企業のデザインリーダーに聞く、これからの経営とデザイン」
ソニー株式会社 VP. クリエイティブセンター センター長 長谷川 豊
富士フイルム株式会社 執行役員/デザインセンター長 堀切和久
株式会社ロフトワーク 代表取締役 林 千晶(モデレーター) 

各社さんの取組のご紹介がまずありました。

ソニーさん
・創業当時からの「innovation = technology ✕ design」精神を持つ。
・デザインが、どう貢献して価値になってるか を大事にしている。
・ミッション・ステートメントは
 『クリエイティビティとテクノロジーで世界を感動で満たす』。
・貢献領域は「ビジネス」「新価値」「コーポレート」の3分野。
・ミッションをベースにトップにどう見せていくか?については
 VisionInsightReportというクリエイティブレポートを定期発行している。

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富士フィルムさん
・ミッションは「ブランディング」「事業をデザイン」「製品サービスをデザイン」「新規ビジネス創出」。
・デザイン部門をクレイスタジオという独立スタジオにした。
 →これがデザイン経営のエンジンになっている。
・デザインだけでなく、技術ドリブンでのイノベーションも重要
・大切にしている技術のなかにヒントを求めていくこと。
・その発想にデザインの考え方を使うこと。

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大企業でのデザイン経営について

林さんは、「デザイン経営」について以下のように定義されていました。

①経営層にデザイナーが話ができる
②最上流からデザインがかかわる

①経営層にデザイナーが話ができるに関しては、
出席された2社とも、デザイン組織の部門長であり経営層でおられる立場の方のお話でしたので、経営にデザインを物申すことができているのだろうと思いました。

トークの中で、
・デザインに興味のある人のいうデザイン経営 と
・デザイナーのいうデザイン経営 は 違う

という話があり、まさにだなと思いました。

前者はどちらかというと、デザインをスタイリングとグラフィックの部門と捉え、その力を会社全体に伸ばすことだ、と捉えられがちです。

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しかし後者として、デザイン部門として自分たちを護るか?だけでなく、デザイン部門のスキルを伸ばすことはもちろん、全社員のもつデザインの能力を開花させる仕組みをつくった上で、デザイン部門を経営資源として客観的に見つめる取組みだと思います。

デザイン部門のつよい会社は、デザイナー組織のオーガナイズの視点でデザイン経営を捉えがち?と感じていましたが、さらに上の視座をお持ちだったのはさすがだと感じました。

②最上流からデザインがかかわるに関しては、
少し残念に思いながら、製造業の大企業としては仕方のないことなのかも、と感じました。

残念に思ったのは「経営層に伝えていく」というお話でした。
トップにクリエイティブレポートを定期的に出し報告をする、という話だったのですが、

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「デザイナーがダイレクトにトップに提示する」かたちで
「一緒に議論」をするようなかたちで「コメントをいただく」場をつくる取組みであり、経営層自らがデザインに関与して「共につくる」ような場にはまだなかったのが、少し以外だった点です。

もちろん、デザイン経営として発展の途中にあるとは思いますが、部門ごとにわかれた大企業としては難しい面もあるようい思いました。

経営層にスタイリングできるようになることを求めるわけではありません。ただ、デザイン経営とは「見立て」であり、他者の見立てを承認するのではなく、ビジョナリーとして見立てることが経営者として最重要なミッションかと思っています。

そのビジョンを、組織に浸透させていくために、組織構造をかえていくことがデザイン経営の本質であるという、従来からもっていた思いを強くしました。以前書いたnoteは以下です。

共感したことば

堀切さんの仰った

コミュニケーションとしてわかりやすいことにする。伝わらなければ一段おとす。それはコミットメントにならない。ちゃんとした硬い食べ物を噛んでもらうことが重要。硬い部分に本質がある。
あえて、難しいままぶつけ、説明するでなく、質問をもらう。

これは非常に重要だと思っていて、経営陣も報告をうけて処理する、のではなく、未知の領域があると認識して、自ら学び、自らを変えていくことが必要なのだと思います。

長谷川さんの仰った

思って、行けそうだと思うものを共有し、見てもらう場をつくる。
何をどう頼めばいいか?を見てもらい、デザインへの理解を深める。

これもつながる部分があると思いますが、全体を通して感じるのは、
「自ら学び、自らやる」という価値観への転換が重要ということでした。

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今後のデザイン経営のために必要な人材

「ブリッジ型人材」や「広義のデザイナー」という言葉にあるようなマルチな人材をとってきたが、秀でたスペシャリストも必要、という視点は、私も思うところがありました。珍獣猛獣のせかい。動物園もそのほうが面白い。そしてどう珍獣猛獣をみてもらうかのガバナンスを、園長として行うことだという話。

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表現はどうかと思いつつ笑、我が社も振り返ると、そんな世界だなと思っています。私は、当社の組織(デザイン組織だけでなく)は「モンスターハウス」と評しています。

モンスターハウスは、ピラミッド型では管理できません。それぞれの自律性を最大限に活かす組織化が必要だと思います。

これからキャリアを造る人も、自分自身が珍獣猛獣の類か?ということで振り返ってみることも必要かもしれません。(たんに凶暴とかいうわけではなくてね。)

どうだった?中小企業編

Session2「中堅、中小企業の経営者に聞く、デザイン経営の実践」
福永紙工株式会社 代表取締役 山田明良
株式会社スギノマシン 副社長執行役員 経営企画本部長/新規開発部長 杉野岳
株式会社ロフトワーク イノベーションメーカー/執行役員 棚橋弘季
株式会社ロフトワーク マーケティング 岩沢エリ(モデレーター)

製造メーカーとして、どうやってデザインを使った経営をするかというお話をされていました。
ロゴのお話がでてきたときに、
「またまた、デザイン経営がCI刷新などの狭い話になるのか?」
と危惧したのですが、そうではありませんでした。

これはデザイン経営のごくごく一部であるとし、これをつくるプロセスを協働でやることをデザインプロセスとして重視している。というお話をされていたので安心しました。

とはいえ、視覚に訴えるロゴや、社服、製品のトーン・マナーの統一により、「わかる」「できる」をデザインすることで、意志を統一できる取組みであることはたしかです。


共感したことば

やはり出てきていたのは、以下のような言葉でした。
・先に行動する
・有志から始める
・自分のやりたいことから始める

この自分中心化、自分ごと化がデザイン経営の中核であり、
経営者が科学的分析一辺倒ではなく、自分ごと化して会社のミッションとしえて当たっているかを再確認する取組みがデザイン経営なのだと思います。

大企業にも中小企業にも共通する「大事なエッセンス」

「自分で、自分から、自分のやりたいことをやる。」
多様性ともVUCAとも称されるこの時代ですが、
「言わなくても分かるでしょ」では伝わらなくなった時代であることはたしかです。

誰かカリスマが考えたことに対し、着実に実行する。ではなく
共通の思いをもったみんなが、自分自身で考える。
ことによって
価値が生まれていく時代にもうなっているのだと思います。

大企業にも中小企業にも共通する「できていないこと」

デザイン組織の活動をKPI/KGIとつなげることはできていないということでした。むしろ、それを捨てることを選択した、というお話もありました。

私は、この部分に向き合わない限り、デザイン組織としてもう一段のブレークスルーは無いのだろうなと思います。

InVisionのいうデザインの5段階のうち、
我々はLevel1をLevel3に引き上げようとすることを目指し、それをデザイン経営と呼ぼうとしていたが、そうではなくLevel4,5の領域で、デザインの力によってビジネスの効率性を上げる、それを再現性のあるものとし、先見性をもって事業を切り開く、そのための組織開発が求められてくるものと思います。

デザインを数字で語れるようになることの重要性。

デザインの効果はおそらく、
行為と現象における一対一の直結ではなく、定量化できないユーザーの感情・心理・誘導などによる相対的な行動変容として現れます。

それを実際のKPIの定量変化とつなげ、数字と理論で説明できるスキルを持ったデザイナーが強いし、今後求められるようになっていくとの思いを強くしました。

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成長カーブが平坦になった先の世界で、なにをするのか?

やはり、Day1の感想にも書いたとおり、
経営の目的は持続的な成長により豊かになることにあり、
そのためにデザインを使おうということでした。

既知の分野を科学的経営でもって行き着いた先の、
ロジックでみんな同じ解を持っている世界では、
差別化して持続的な成長はできないうに思います。

一方、未知の分野で、誰も解は持っていない世界では
「美意識」が重要になってくると思います。
それには視覚的に美しいというだけでなく、
多種多様な自分なりの「美しさ」の基準があるでしょう。
そのとき、何が「美しい」のか、自分自身で説明できるまで理解できないようでは、取組みは持続できないと思います。

個人も会社も、
自分で自分を信じられるか。ですね。

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株式会社ゆめみでサービスデザイナーとして働いています | HCD-Net認定人間中心設計スペシャリスト | PMI認定PMP | SA認定CSM | AWS認定クラウドプラクティショナー | 多摩美大TCL第1期 | 関西大学社会学部 | TOEIC L&R 870

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