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大多数の人は「損するか得するか」ではなく「損するか損しないか」で動くということ
先日遭遇したこと
Twitterで共感する投稿があり、それに対して返信をしました。
ブックオフの買取も、予約はガラ空きなのに、店で列に並んでスマホ触ってる方ばかりでした。予約のポスターがその列に向けガンガンアピールしてましたが…30分並ぶより、3分の面倒くさいのほうがやりたくないようです。
— Makoto@サービスデザイナー (@makotosonegoofy) January 30, 2021
行動経済学の「心理的リアクタンス」でナッジするといいのかも? https://t.co/AaBN04Jcjp
人々はなぜ、「目の前にある明らかな得」よりも、現状維持を望むのだろうか、ということをかなり不思議に感じておりました。
並ばずに取引するメリットを行うために、新しい困難なことを行う
よりも、
このままいつもどおり並ぶことで、確実に取引を行う
を選ぶ。
得られるものは同じだが、前者のほうが時間をかけなくてすむ
はずなのですが。
行動と結果だけを見ると、不合理としか言いようがありません。
藤野さん、水野さんの投稿
くしくも先日Facebookにて
ひふみ投信の藤野さんから、人々の(特に日本の人)行動規範に関しての
興味深い投稿がありました。
世の中、いくつかの軸で物事を判断していて、損か得か、正義か悪か、楽しいか苦しいか、美しいか醜いか、いろいろある。 たとえばわかりやすく言うと、安倍さんの桜の会問題なんかいい例で、正義か不正義かを重要視する人からすれば、これは明らかに不正義...
Posted by 藤野 英人 on Sunday, February 7, 2021
特に以下に抜き出した部分で、深く共感するとともに、この部分をどのように動かしていくことができるか?ということを考えさせられました。
・・・
「得をする」ということよりは「損をしない」というのが判断の軸になっている人があまりに多いのだ。たとえば、clubhouseについての態度なんかも面白くて、損と得を比較考量して得だから損だからclubhouseに入る入らないのと判断している人以上に、clubhouseをすることによる損の部分をたくさんあげて、「やらない」という結論を導き出している人がけっこう多い。
・・・
日本の人が長期的にはあきらかに有利なiDeCoや積立NISAなどが広がりに欠けるのも金融リテラシーの問題以上に、損をすることとしないこと、という判断でやらないという結論を立てている人が多そうだ。それは投資をしなければその投資における損はしないから。0とマイナスを比較したら結論は必ず0(何もしないこと)になります。
・・・
損をすることとしないこと、という判断でやらないという結論を立てている
先程の例でいくと、
並ばずに取引するメリットを行うために、新しい困難なことを行う
→アプリを入れたり、面倒な体験をして(感情面で)損をする
このままいつもどおり並ぶことで、確実に取引を行う
→いつもどおりなので損にはならない
ということかと合点しました。
これは先日、テスラの水野さんもおっしゃっていたことに繋がります。
何か新しい問題解決を提案すると、必ず「それがうまく行かなかった時の責任はどう取るんだ」という人たちが出てくるが、だいたいの場合においては、そういう人達には現状維持したことによって問題が発生したときの責任を取る気は全くない。
— HIRO MIZUNO (@hiromichimizuno) February 8, 2021
新しい問題解決によって面倒な体験をして(短期で)損をする
よりも
いつもどおりなので(短期で)損にはならない
という選択。
しかし本当にそれでいいのでしょうか?
いつもどおりでいること、が長期的な損につながることはないでしょうか?
イノベーションのジレンマという言葉があるぐらいですから、危ないと考えています。
うまくいかなかったときの責任
「うまくいかなかったときの責任」に言及するケースというのは、企業が大きくなるほど、多くなっているのでは?と感じました。
ただし、「うまく行かなかったとき」を事前に数量的に想定できるのは、
計画的プロセスでしかありえません。
計画的プロセスというのは「すでに実行した経験があり、その経験に基づく再実行をすること」です。
すでに実行されていること、をなぞるのは、競争のレッドオーシャンにいるということです。
逆に「うまくいくか、いかないか、わからない」チャレンジというのは、
「経験したことのないことを、実行」することなので、
責任を保証することなどできないのです。
今の世界は、テクノロジーもお金も飽和して、過当競争に陥っています。
過当競争にさらに参加するのか。
経験したことのない新しいことにチャレンジして、競争の外側にあらたに独占を築くのか。
利益を追求する企業体であれば、後者を実行できないことこそ、リスクなのではないでしょうか?
ということを以前noteに書かせていただきました
どうすればいいのか?
不合理な選択を人間がしてしまうのは、行動経済学でも語られています。
そのようなときは、「心理的リアクタンス」という原則から、ナッジするといいのかもしれません。
心理的リアクタンスとは
自由を制限されるほど、その自由を取り戻そうとする心理現象のことです。
例)
「絶対に見るなよ!」と言われたら、気になってしかたがなくなります。
「勉強しなさい!」と言われたら、逆にやりたくなくなります。
先程の例でも、
『時間を無駄にしたい方はこの便利な予約サービスは使わないでください』
『待ち合わせに遅れたい方はこのモバイルオーダー使わないでください』
のように仕掛けることで、使う率は上げられるかもしれません。
『老後不安になりたい方は、iDeCoなんて使わないでください』
『不都合な政策になっても構わない方は、投票しないでください』
組織や人を動かすには、
人が現状維持バイアスによって「損をしない」と思ってとる行動を、
具体的に損とつなげてあげることで、
損をすることとしないこと、という判断を覆す作戦が重要なのかも、
と感じました。
私も自分に心理的リアクタンスを仕掛けたらよかったとちょっと後悔。
マイナンバーカードのスマホ申請、重い腰をあげて完了させた。家族5人分すぐだった。
— Makoto@サービスデザイナー (@makotosonegoofy) January 30, 2021
一番の強敵は「申請を忘れる」、次が「写真撮影面倒くさい」だった。
これも「青色で+10万円の所得税額控除されたくないひとは、マイナンバーカード作成しないで」と自分に心理的リアクタンス仕掛けるべきだった。
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