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「理想のわたしたち」になるためのデザイン・シンキング(1)

このnoteについて

先日、課題発見のためのクリティカルシンキングというnoteを書きました。
その中で、課題とは、現状と理想とのギャップ と定義しました。
課題を課題たらしめているのは「理想の状態」なのです。

「理想の状態」がわからない

しかし、世の中には「課題を解決する」と称して、
アクション(HOWの部分)にひたすら注力し、
結果が出ず(というか測定する術がなく)、
最終的に評価されずに困っておられるケースが散見されます。
※なぜHOWに注力すると結果が出ない(測定できない)のかはこちらのnoteに記載しています。

この場合、課題を課題たらしめる「理想の状態」が定義できていないか、
もしくはクリアに見えていないのです。
「理想の状態」をクリアに見つめ、課題を発見するためにはどうすればよいのでしょうか?

そこはデザイン・シンキングするとよいと思います。
全5回のnoteにまとめました。

デザイン・シンキングとは?

デザイン思考は、協働的・反復的な仕事のスタイル、あるいはアブダクション(発想法)を用いた思考法のことです。

1972年に、心理学者・建築家・デザイン研究者のブライアン・ローソンが、問題志向の人間と解決志向の人間の差異を明らかにするための経験的研究を行ったことに端を発します。

自然科学専攻の学生は、なるべく異なる種類のブロックを用いて多くの組み合わせを作り、可能な限り早く出来上がるようなデザインを試そうとした。つまり、可能な組み合わせを用いて得られる情報量を最大化しようとしたのである。可能なブロックの組み合わせ方についての規則が発見された時点で、今度はレイアウトをどのような色にすれば課題を適切に解決できるかを考え始めた[問題志向]。対照的に、建築専攻の学生は適切に色づけられた境界線が出来上がることを目指してブロックを選んでいった。一度試してみて、もし組み合わせが上手く行かなかったら、今度はその次に良いとされる組み合わせでやり直していき、採用案が発見されるまでその作業を続けた[解決志向]。

—Bryan Lawson、How Designers Think

デザイン思考はまた、デザイナーが行うデザイン過程の認知的活動のこと、とも例えられることがあります。

デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的活動を指す言葉である。
ーVisser, W. 2006, The cognitive artifacts of designing, Lawrence Erlbaum Associates.

デザイン・シンキングの一般的な認知

2005年ごろよりスタンフォード大学のd.schoolにおいて、工学系の学生に向けた形式的な方法としてデザイン思考が教えられ始めました。一般的に広く認知されているものとしては、d.schoolで用いられた「デザイン思考5つの"モード"」(d.school,stanford,2011)の図が有名だと思います。

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(Design Thinking Bootlegより引用)

デザイン・シンキングがなぜ理想探求・課題発見に向いているのか?

現状と理想とのギャップ と定義しました。
課題を課題たらしめているのは「理想の状態」なのです。

理想の状態は、それぞれの人の心の中にあります。
人の心の中は、見えるでしょうか?
そしてそれをMECEに分析して、ロジックツリーを構築できるでしょうか?
できないと断言できます。
人の心は、たんに一断面だけ切り出した、インタビューやアンケートの分析だけでは、わかりえないのです。

欲求は複雑になり、暗黙的、非言語的になっている現代。
その暗黙的・非言語的欲求を測定し分析するのに、デザイナーの持つ可視化と伝達のちからを使うことで、「理想の状態」を定義し、また理想の状態に近づく方法が見つかることができるのです。

理想の状態に到達するプロセスとして、5つのモード図があります。

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まずEMPATHIZEです。

次回につづく

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