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「#石炭火力発電を輸出するって本当ですか」ムーブメントが若者中心に起こる理由

このnoteのポイント

・「#石炭火力発電を輸出するって本当ですか」とはどういうムーブメントなのか?
・なぜこのムーブメントが起きたのか?
・ムーブメントの中心になぜ若者がいるのか?

皆様、こんにちは。
Good Tideチームメンバーの山下です。

先週、Twitterでこんなハッシュタグが話題になりました。

「#石炭火力発電を輸出するって本当ですか」

少し長めですが、しっかりと反対の意思が伝わってくるハッシュタグです。

私がTwitterでフォローしている人たちが、続々とこの質問状を話題にしているのを見て、私も思わず内容を確認しました。
発信元を見てみると、なんと声を挙げているのはほぼ全員学生。これにはとても驚きました。

今回は、このムーブメントの内容とムーブメントが起こっている理由について、簡単にご紹介してみたいと思います。
ぜひ、最後まで読んでみてください!

「#石炭火力発電を輸出するって本当ですか」運動とは

簡潔にお話しすると、日本の企業・銀行の支援によってベトナムに「ブンアン2」という石炭火力発電所が建設されようとしている状況に対して、環境問題の解決に取り組む若者が(その関係者へ向けて)CO₂を排出する発電所をベトナムに作ることに関して、どういった意図・方針があるのかを聞く公開質問状を送った、というのがムーブメントのはじまりです。

質問状が送られたのは、この発電所建設に関わる三菱商事・国際協力銀行・みずほ銀行・三井住友銀行・三菱UFJ銀行です。

回答期限は1/14までとされており、その回答内容にも注目が集まっています。
(期限内にすべての送付先から回答があったようですが、1/15時点ではまだその内容は公開されていません)

なぜこの質問状が提出されたのか

この質問状は、ブンアン2建設に関して現状の不明点を元に対話のきっかけをもたらす内容です。
なぜ質問者たちが建設に懐疑的であるかは、この活動に関して発信されているnote「#石炭火力発電を輸出するって本当ですか」を見てみると、下記の3つが大きなポイントとなっているようでした。

1)地球温暖化を促進させる石炭火力発電所建設の妥当性
2)発展途上国への石炭火力発電所輸出に関する先進国・輸出国としての責任所在
3)目先の利益優先の決定と将来世代への説明

#石炭火力発電を輸出するって本当ですか(note)「2021/1/5 #1 ベトナムに石炭火力発電輸出?実施・支援する会社に公開質問状を送付しました🌏🙋‍♀️

1)地球温暖化を促進させる石炭火力発電所建設の妥当性
石炭火力発電所=CO₂が排出される場所、というイメージを持っているZ世代の私ですが、日本の石炭火力発電所は高効率で、CO₂排出量が少ないと言われています(参照:J-POWER「もっと知ってほしい石炭火力発電 日本の石炭火力発電所はクリーン」)。
それが現在も日本が世界中で発電所ビジネスを行う理由の一つとなっているわけですが、今回の発電所建設では、従来とそこまでCO₂排出量が変わらないUSC発電という方法をとっているというのです。
また、日本政府は2020年10月に「2050年までにCO₂排出量ゼロを目指す」と宣言していることもあり、(国内ではなく)海外でCO₂を排出することに問題ないのか?という指摘もあります。

2)発展途上国への石炭火力発電所輸出に関する、先進国・輸出国としての責任所在
noteによると、ベトナムでは自然エネルギーの低価格化が起きていると言われています。
そういった状況の中で、より安価で環境配慮がなされた再生可能エネルギー発電所への切り替えが近い将来起こり、石炭火力発電所が不要なものになった際の責任の所在について触れられています

3)目先の利益優先の決定と将来世代への説明
同じく、noteにはこの発電所建設が10年以上前から計画されていたものであり、関係各社の利益が優先されているために白紙に戻すことが難しいのではないか、と述べられています。
目先の利益を優先させた結果、気候変動の被害を受けるのは若者世代だ、と力強い主張がされていました。

若者中心にこのムーブメントが起きた理由

このムーブメントの中心となっているメンバーは、デザインで社会課題に取り組むハードルを下げることを目指す団体「NO YOUTH NO JAPAN」で代表を務める能條さんや、グレタ・トゥンベリさんが金曜日に学校に行かないことで環境問題解決に取り組まない政府に抗議したことに端を発する「Fridays For Future」の日本支部で活動するメンバーなど、環境問題やその他の社会課題に関して日ごろから声を挙げている人たちです。
メンバーのほぼ全員が、大学生とZ世代のメンバーで構成されている今回の活動。
Z世代は気候変動が深刻になり得る未来に生きる当事者だからこそ、大きな声を挙げているのではないでしょうか。

海外と比較した石炭火力発電所への融資状況

若者たちを突き動かす理由としてもう一つ考えられるのが、石炭火力発電所への融資状況です。
注目していただきたいのが、下記のランキング。

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【出典】
350 Japan「2018/12/5 日本のメガバンク3社:石炭火力発電への貸し出し世界上位」(2021/1/14確認)

なんと、日本のメガバンク3社が上位に並んでいることがわかります。
これを見ると、環境負荷の影響が大きいと言われている石炭火力発電に対する日本企業の動き方に対して、疑問が湧いてくるのも理解できます。

世界からの批判の声

実は、今回の質問状に先立ち、2020年5月の時点で世界40以上の国と地域から127団体がブンアン2建設に反対する要請書を建設に関わる日本の銀行、出資者、内閣総理大臣に提出しているのです。

環境汚染への懸念のほか、事業者が作成した環境影響評価の報告書にさまざまな問題点があることも、世界法律家連盟(Environmental Law Alliance Worldwide)による分析調査で指摘されていると書かれています。

こうした、“国内ではあまり大きなニュースにはなっていないけれど、世界が日本の行動を問題視している”という状況も、今回のように若者が動いたり問題意識を持ったりするきっかけになったのではないでしょうか。

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若者が問題に正面から向き合い、質問状を送ったこの「#石炭火力発電を輸出するって本当ですか」というムーブメント。まだ、回答は発表されていませんが、各社からどのような回答があったのか、またこの発電所建設が今後どうなるのか、今後の動きがとても気になります。
賛成・疑問・批判などさまざまな意見があると思いますが、このようなムーブメントをきっかけに少しだけ環境問題について考えてみてはいかがでしょうか。


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