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ロンドン在住 世界的に活躍中の声楽家 〈カウンターテナー〉中嶋俊晴さん(35歳)

長身でスポーツ選手のようにも見える中嶋さん。
優しく美しいカウンターテナーの歌声は、どのように生まれたのか。

旭森小学校~東中学校

彦根市正法寺町で生まれ育ち、幼少期からピアノを習っていた。
小学三年生頃から中学三年生までは、野球にも打ち込んでいた少年。
試合と発表会が重なる時もあり、汗だくのユニホームのまま
発表会の会場へ駆けつけることもあった。

声楽を始めたのはミュージカルにも興味を持っていた高三の夏前。
国立の音楽大学合格は狭き門だった。浪人中にその後恩師となる
三井ツヤ子さんの演奏に出会い、京都市立芸術大学への進学を決意する。

大学では、バリトンとして学び始めたが、紆余曲折を経て
カウンターテナーへ転向した。カウンターテナーとは男性が
女性パートのアルトからメゾソプラノを裏声(ファルセット)で歌う
とても魅力的な声色。

©️カフェ・モンタージュ

日本から 世界へ

京都市立芸術大学音楽学部声楽専攻卒業、
東京藝術大学大学院修士課程修了後
ウィーン国立音楽大学大学院リート・オラトリオ専修および
アムステルダム音楽院修士課程を
共に満場一致の最優秀栄誉賞付きにて修了。
バロックのメッカで研鑽を重ねた中嶋さんの声は、高く評価された。
欧州を中心にオラトリオ、オペラのソリストとして
多彩な演奏活動を展開する。

©️三浦興一
提供:公益財団法人 北区文化振興財団

国内外での演奏活動や後進への指導など中嶋さんにとって
慌ただしい日々が続いていた2020年3月、
世界中がコロナパニックになった。
ロックダウンや自粛でコンサートはたくさん無くなってしまい
途方に暮れた時期もあったが、自分の歌や声そして心ときちんと向き合えた時間でもあった。

コロナ禍 自身初のソロアルバム制作

夏には、自身初のソロCD《私の好きな日々》を制作。「何気ない日常の、
何気ない幸せに、心からの敬意と感謝を込めてこのアルバムを作りました。」
武満徹、谷川賢作、上田知華の優しくメッセージ性の強い作品が集められた。
ギター 岡本拓也さん、ピアノ 谷川賢作さん、白取晃司さんそれぞれと
中嶋さんの優しく温かい歌声が、寄り添い語りかける。

今後の演奏活動について

感染対策を取りながらコンサートも行われています。
令和2年五島記念文化賞オペラ新人賞をカウンターテナーとして初めて
受賞し話題となり、コンサートチケットは完売することも少なくない。

2022年3月19日には約10年ぶりとなるリサイタルが
ひこね市文化プラザエコーホールで開催される。
プログラムは10年間の自分の思いをオムニバス形式にした。

「人と人とのつながりをコロナ禍でより強く感じ、再認識した。
今後、自分が共演したい人、絶対に歌いたいものを追求したい。」
中嶋さんの重ねてきた時間と経験が、常に新しい音楽を作り出す。

取材をお願いしたのは、コロナが少し落ち着き始めた11月の初旬、
ロンドンから帰国されたタイミングでした。すぐに対応していただき
待機期間中の東京のホテルからリモート。時差もありお疲れのところ、
丁寧にお話してくださいました。人柄が演奏に表れていると感じます。

中嶋さんのブログ、YouTubeを拝読、拝聴し、
ブログからは滋賀や彦根愛を感じる記事もありました。
素敵な中嶋さんの歌声をみなさんもぜひお聴きください。

カウンターテナー 中嶋俊晴さん
公式ブログ:https://nakatoshi.exblog.jp
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC5RqkBiqtDOn3sMn5bTw1lw

(写真・ご本人提供  文・Nao♪ )