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あおぞら・みどり・えがお ぬくもりのなかで育つ命を感じる野菜たち 新海浜 戸松農園

青空のもと、凛とならぶ緑の野菜たち。ピーヒョロヒョロ…澄んだ空に響きわたるとんびの鳴き声。

彦根市の一番南のはしっこの町、目の前にはすぐ琵琶湖が広がる新海浜。
のびのびとしたこの場所で、ご夫婦で日々こつこつと無農薬の有機栽培野菜を作り続ける戸松農園さん。もともとご主人の光生さんの実家が栃木の有機農業農家で、奥様の真希子さんとの結婚を機に滋賀で有機農業をはじめました。以前は米原市の山東町で有機農業をしていましたが、雪が多く、雪掘り出荷等が大変で、新海浜へ移転。5反の畑を耕して、丸7年になります。

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「安心・安全・おいしい!」有機栽培野菜。その野菜たちを育てていくにはたくさんの手間がかかります。新海浜に移転して、気候があたたかくなったのはよかったものの…あたたかいと虫も死なずに越冬。農薬は使わないため、ひたすら手作業で虫をとります。また、砂地であるために土も熱くなり、夏の野菜の芽が出なかったり、出ても枯れてしまったり。遮光ネットで日影を作ってあげたり、こまめに水やりをしてあげたり、そうしてやっと芽が出ても、虫にくわれてなくなってしまったり…
自然相手の仕事では長年の経験でわかってくることもありますが、「毎年天候も変わるので毎年勉強です」 

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日々、工夫しながらの農業。有機農業では肥料も自然素材。戸松農園さんでは新海浜の公園の落ち葉かきの落ち葉なども利用しています。落ち葉はまず「踏み込み温床」に。踏み込み温床とは落ち葉に米ぬか、水をまぜて踏み込むことで40度くらいの発酵熱が産まれるもので、その熱で野菜苗を育てます。

次の年には育苗用の腐葉土にしたり、雑草防止のために敷くマルチシート替わりにしたり、土にすきこんで肥料にしたり、様々に活用できます。自然の力を利用した昔の人の知恵による技術で、たくましく健やかに育つ野菜たち。

落ち葉とこうちゃん

苦労も喜びも自然とともにある有機農業。季節の移り変わりを感じながら働けることなど喜びもたくさんあります。人間関係のストレスもなく(笑)、肩もこらず、外の空気は気持ちよく、自然を感じられること。また、子どもと遊ぶ時間がたくさんとれること。

畑作業に一緒に来て、何を触っても安心な場所で、虫を見つけたり、花の蜜を吸ったり、のびのびと過ごす子ども達。夜遅くまで残業するサラリーマン男性と違い、父親も子育てに参加しやすく、生活と仕事の区別なく家族みんなで暮らせる毎日。この日も保育園児のこうきくんが落ち葉山で遊んだり、雪だるまを作っていました。

さといもを掘る光生さん

「食べ物は体を作るものやし、皆が食べ物に気を配ったり、関心を持っていってほしい。」(真希子さん)
「農業は大変やけど、他のことはやりたくない。子どもの頃から農業を見ていて、肉体的には大変っていうのは見てたけど、みんな情熱をもってやってたんで、そういうのを見てたから、それを苦には思わなかった」(光生さん)

自然体でひたむきに毎日こまめな世話を続ける戸松農園さん。ていねいに育てられた野菜たちは甘くて、味がしっかりしていて、みずみずしい生命の力強さを感じます。そして、その両親の姿と野菜たちを見ながら、すくすく育つ子ども達。自然とともにある、しあわせな暮らしが新海浜にありました。

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戸松農園さんでは彦根市・長浜市の個人宅に野菜の宅配や遠方への宅配便もしています。また、毎月第2水曜日には「はらぺこ市」で野菜の直売も実施。はらぺこ市を運営しているのは「さんしょ組」というグループ。こだわりの地元の安心食材を届ける市をはじめて10数年。戸松農園さん以外にもこもれびさん(パン)、ムスヒさん(お米)、あやべ豆腐さん、ペルルさん(洋菓子)などが参加されていて、いろいろなおいしいものに出会えます。開催場所は4月以降はまだ未定になりますので「さんしょ組」のブログやフェイスブックを見てください。

私は、長女が産まれた時から戸松さんの宅配野菜を利用しはじめました。きっかけは離乳食作り。赤ちゃんに安心で新鮮な野菜を食べさせてあげたい、そう思って無農薬の野菜を探していた時に戸松農園さんの野菜に出会いました。共働きで2人の子育てをしているので、週1回おいしい野菜を宅配してもらえるのはとても助かっています!

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(写真・文:なかむらなつこ)

戸松農園
 場所:彦根市新海浜 
 電話・FAX:0749-29-1281