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贈った小説に込めた願いと問い ~幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないこと~

少し前のことだが、大学時代の友人の子供が大学に入学したタイミングで、10年ぶりに彼女と4度目の再会をした。友人と出会ったのが大学入学時という不思議なタイミングでの再会で彼女にプレゼントしたのは、20代の頃からの愛読書であるパウロコエーリョの小説「アルケミスト」(文中引用すべて同じ)

Welcome to the World

彼女がこの世界に生まれたその日、僕は大学を卒業してもなお夢を追いかけ続けていた。現実的な選択肢として就職ではなく、あえて浪人という道を選んだ僕は、他の友人たちが次々と就職先を決めていくのを見て、焦りや孤独を感じることもあった。
しかし、その一方で、自分が選んだこの道には何か意味があるのだと信じていた。現実がどれだけ厳しくても、その中に"前兆"があると信じ続けていた僕は、挑戦し続ける中でさまざまな人々との出会いや貴重な経験を得ることができた。あの頃はその重要さに気づくことはなかったけれど、今振り返れば、そこでの出会いや経験が、今の僕の仕事や生き方に大きな影響を与えている。

「夢を追求している時は、心は決して傷つかない。それは追求の一瞬一瞬が神との出会いであり、永遠との出会いだからだ。僕が真剣に自分の宝物を探している時、毎日が輝いている。本気で宝物を探している時には、僕はその途中でたくさんのものを発見した。挑戦する勇気がなかったら、決して発見することができなかったものだ」

砂漠の旅

再び彼女と再会したのは、僕が何度も挑戦してきた夢に対して、次第に自信を失っていた頃だった。扉を叩き続けても開かない現実に疲れ果て、「これで最後にするから」と家族に言い、挑んだ最後の試験を終えた直後だった。心の中には、自分の限界を感じ、もうこれ以上夢を追いかける勇気がないのではないかという不安が渦巻いていた。帰り際の改札で手を振ってくれた小さな彼女に少しだけ元気をもらう。

「僕の心は傷つくのを恐れています。人は、自分の一番大切な夢を追求するのが怖いのです。自分はそれに値しないと感じているか、自分はそれを達成できないと感じているからです」

クリスタルを売る

3回目の彼女との再会では僕は既に新しい道を歩み始め、結婚をし、会社員として何度目かの職場で学生時代には想像もしなかったキャリアを築いていた。思い描いていなかった人生の進行。
組織の中での責任や期待が自分の背中をグイグイと押し、まったく未知の新しい領域での新しい学びと経験の機会も自分を引っ張り続ける。毎日が新たな挑戦の日々だった。一方でずっと変わらない天真爛漫に走り回る彼女の元気なパワー。
忙しく充実する日々の中で自分自身が組織に何を求め、何を学ぶべきかを心の奥で模索していく時期が次第に近づいてきていた。

”同じ友人といつも一緒にいると、友人が自分の人生の一部となってしまう。すると、友人は彼を変えたいと思い始める。そして、彼が自分たちの望み通りの人間にならないと、怒りだすのだ。誰もみな、他人がどのような人生を送るべきか、明確な考えを持っているのに、自分の人生については、何も考えを持っていないようだった" 

”誰もが世界最大のうそを信じている~人は人生のある時点で、自分に起こってくることをコントロールできなくなり、宿命によって人生を支配されてしまうということだ。それが世界最大のうそじゃよ。”

変化を恐れない、今この瞬間の選択

そして10年ぶりに彼女と再会した今回、僕は自分がその小説を手にしていた。これから彼女が進む人生には、素晴らしい出会いや新たな冒険が待っていると信じ、心から願っている。そして、彼女が自分の運命を見つけ、恐れずにその道を歩んでほしいと願うとともに小説を贈った僕自身が自分の運命に忠実に生きていると胸をはっていえるか。そのために今この瞬間にどんな視点でどんな選択をするだろうか。

「ある人が、彼の運命にそっているのか、それとも遠く離れているのか、感知することだった。彼らを見るだけでわかった。とてもやさしいことなのに、今まではやったことがなかったな、と少年は思った」

"もし常に今に心を集中していれば、幸せになれます。砂漠には人生があり、空には星があり、部族の男たちは人間だから戦う、ということがわかるでしょう。人生は私たちにとってパーティーであり、お祭りでもあります。なぜなら、人生は、今私たちが生きているこの瞬間だからです"




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