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「知る」体験とAIの成長について 第一回

我々は「知る」ということを無意識に実行しています。
「知りたい」という欲求や必要性から、調べることや、知っている誰かとコミュニケーションをとることなどの行動をしています。
それでは、我々が「知る」という行動には何が必要なのでしょうか。
それは「情報」です。
「知る」という体験は「情報」を得ることで達成することができます。
その「情報」とはどのようなものであるかを今回は考えていきたいと思います。

「知る」体験を提供するために必要な情報

知りたいことはみんなそれぞれで、状況やタイミングでも異なってきます。
情報を提供するサービスやプロダクトは色々ある中で、求められている情報を提供しないと期待に応えられなかったりします。
求められている情報に必要な要素は4つあります。

1.必要とされる二つの「精度」

情報にとって正確性は最も重要です。
信憑性のないものや不正確な情報ほど、ユーザーが求めているものとは遠い存在になります。
ただ、正確性とはユーザー、または手にするモノにとって価値のある情報であるかであって、それは受け取り手によっては異なってきます。
例えばAさんが服を買う際に必要とする情報には、自分が求めている服の種類から検索して欲しかった商品が見つかる「個人最適の情報」と、Aさんが現在人気の商品ランキングで1位を見たい「一般的な情報」などがあります。
他にも客観的なデータや、それぞれを組み合わせた情報があり、その条件下で求めている環境に適した精度が情報には求められています

2.取り出しやすく整理された情報の「構造」

情報は分散していても、使いにくくて面倒になってしまいます。
例えば、一つのことを知りたいのに複数のサイトやニュースを見た経験があったりしないでしょうか。
それが一つでまとまっていたり、優先度や重要度や鮮度などで整理できていると、知る側が情報の精査をすることもできます。
知りたいことを知りたい順に並べることや、関係のある情報を適切に構造化することが重要となります。
また情報を格納するデータベースも構造化することで、引き出しやすく収納しやすい利点があります。例えば、知りたい人からすると、株式会社Aの子会社も取引先も出資先も全て「関連会社」で調べるのではなく、株式会社Aの「取引先」で調べるからです。
しっかりと知りたい人が知りたい体験に合わせた情報構造を作ることが求められます。
しかし、先ほど「精度」について話した通り、条件や環境で変わってくる「知りたい」を叶えるためには複数の「知りたい」を想定し設計することも必要となります。

3.過不足のない最適な「量」

「構造化」されているだけでは膨大で余計な情報も含まれてしまいます。
知りたい情報には過不足がない状態が最も求められます。
多すぎるとノイズになり、知らなくてもいい情報も含まれてしまいます。少なすぎると知りたかったことを知ることができないために、目的を達成できません。
多くもなく少なくもなく、ユーザーに適した量を提供することが重要です。
例えば、今もGoogleやSNSで検索すると大量の検索結果が出ますが本当に必要な情報は、その中で絞り込みや検索方法を変えて取捨選択していく必要があります。
また全ての情報を繋げた場合も、トヨタの車を調べようとして、愛知県の豊田市や豊田社長のことではなくトヨタ製品が知りたいだけなのです。立場や状況によって知りたいことだけではなく知らなくてもいい情報も整理していく必要があります。

4.しかし、知らなかった新しい「付加価値」が必要とされる

求められていない情報を提供することで、ユーザーの嬉しい体験につながることがあります。
それは新しい「発見」です。
「発見」は情報の付加価値にもなり、期待値を上回ることが可能となります。
ただし、「発見」することにも精度や量が適切でないといけません。また提供するタイミングも重要になります。

AIで実現できる「知る」体験

昨今のAI事情で可能性は広がりました。
ただAIも手段の一つであり、様々な体験を実現させるためのツールとして考えていくべきです。
生成AIは新しく0から1を生み出しているようですが、「適切な情報を渡すことや情報を戻す際のアウトプットが加工されていることから生み出せる」と考えると理解しやすいのではないでしょうか。
魔法ではないので生成AIも知らないことや足りない情報は補えません。
ここで実は「知る」体験をしているステークホルダーが増えていることにお気づきでしょうか?
そうです、AIもまた「知る」体験をすることで、ソリューションとして成長していくのです。


ユーザーがAIを利用するとできる「知る」体験

AIは万能ではありませんが、成長させることで実現できる「知る」体験には素晴らしい未来があります。
上記にもあるように、「精度」「構造」「量」を適切に調整することができれば、「発見」を提供することも可能になります。
特に「発見」において、AIは新しく提案することに優れています。
なぜなら「精度」「構造」「量」を適切にすることは詳細な検索機能を作っていくことで実現できますが、新しい提案を出すことは難しいからです。
これは「発見」と「量」の関係が相反する存在であるからこそ、通常のソリューションでは対応できないのです。
例えば、旅行先の宿泊先を調べていて「ゆっくりしたいな」と思って有名な温泉地で検索していて絞り込みを行うと、「ゆっくりしたい」という感情ではなく「有名な温泉地」という絞り込みが優先されてしまうのです。
そこで新しい「発見」は「ゆっくりしたい」という感情を入れることで、有名な温泉地ではなく「他の方がゆっくりすることができた場所」というオススメを提案してくれるのです。
しかし、上記のような情報はノイズにもなる可能性もあり、膨大になると適切な「量」ではなくなってしまいます。
ただ、それもユーザーが必要な情報は何かということを「知る」ことで適切な「量」の「発見」を提供できます。
これはサジェストを複雑に織り交ぜると実現可能ですが、どうしてもシステム負荷やユーザーの入力負荷が大きくなってしまいます。
それをAIを活用することで圧縮することが可能なのです。

今回は「知る」体験とAIの成長についてのお話をさせていただくために、まずは土台となる「情報」について考えていきました。次回は、その実現のために必要な考え方についてお送りしたいと思います。
「知る」体験を追求するととても面白いので、誰かと語りたいと思う今日この頃でした。それではまた次回。

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