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シナリオ課題作 #2

現在、シナリオセンターでライティングを学んでおります。
毎週課題が出され必要枚数分書いて提出しているのですが、せっかく課題でも書いているので載せていきたいと思います。

掲載シナリオについて

・提出済みのシナリオです。
・添削内容は掲載しません。
・提出後、修正はしておりませんが、書き方的な修正はしております。

課題『一年後』/ 春の呪い (400字詰め3枚)

人物

南かれん(19) 大学生
藤沢信介(18) かれんの幼馴染

本文

〇高校敷地内・中庭
満開の桜の下【祝卒業】と書かれたコサージュを胸に着けた南かれん(18)が
藤沢信介(17)から花束を受け取っている。

かれん「大げさだなぁ、信介くんは」
信介「大事な日だから。貰って」

かれんは嬉しそうに花束を受け取る。目には少し涙が滲んでいる。

かれん「ありがとう」
信介「大学は京都に行くんだろ。俺も行くから」
かれん「信介くんは理系でしょ。専攻が合わないよ。
   それに此処から遠いし」
信介「それでもいい。わかるだろ…俺の気持ち」

真剣な眼差しでかれんをみつめる信介。かれんは少し驚くが優しく微笑む。

かれん「気持ちはわかったよ。でも待たない。
 もし信介くんが一年後も同じ気持ちだったら教えて欲しいな」
信介「気持ちは変わらない。一年後にもう一度伝えさせて」
かれん「…聞けたらね」
   
かれんは少しそっけなく答える。

〇京都の大学・合格発表
雪が降り積もる中、信介が合格者の受験番号の掲示を凝視している。
一瞬大きく目を見開いて小さくガッツポーズ。
信介の手にある受験票の番号【357】が見える。掲示板にも【357】がある。

〇公園・ベンチ
喪服を着てベンチに腰掛ける信介。満開の桜が風に吹かれて花弁を散らしている。空を見上げると一本の白い煙が空へ昇っていく。
その煙をじっと見つめる信介。膝に置かれた拳は強く握られている。
上着のポケットから白い封筒が覗いていて、可愛らしい文字で【藤沢信介様】と書かれている。

信介「待たないって、そういうことかよ」
   
封筒を手に取り、中身を取り出す。
中にはかれんと信介が笑顔で映った写真と手紙が入っている。
手紙の最後には、かれんの名前が書かれており、文面には【待てなくてごめんなさい】と書かれている。
涙が一滴、手紙に落ちて文字が滲む。
手紙を持つ手が震えている。強く力が加わり皴が入る。

信介「【今度はちゃんと待ってるね】って…まるで呪いの言葉じゃないか」
   
手紙の一文を口に出し、大きな声を上げて泣き出す信介。
ひと際強い風が吹き、花びらが舞い信介の姿を隠すように舞い上がる。


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