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#8【こんなこともある】解離性同一性障害という生き方 ~100人超の交代人格と私~

ある日、交代人格の一人が慌てた様子で出てきたことがある。

なぜそんなに慌てているのか尋ねると、30人近くいた人格たちがすべて消えてしまったというのだ。これには驚いたのと同時に、何が起こったのかわからず、この先どう対応したらよいのか、思考回路が停止しぽっかり穴が開いたように少しの時間呆然としてしまったことがある。


そもそも、基本人格の生活を軸に他の人格が外へ出てこないように制御していたり、出てきても好き勝手しないように抑えていたこともあって、出てくる人格が居なくなったのならそれはそれでよいことなのだろうと思った。しかし、なんだかしっくりこない。これまでうざったいほどにとっかえひっかえに出入りを繰り返していた人格たちが何の前触れもなくいなくなるとこんなにも静かで、寂しさを覚えるほど静かすぎて、思わず、みんな戻ってきてくれと願ってしまうほどだった。

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