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シンガポール旅行③ 二日目 灼熱のマーライオン公園


 シンガポールの夏は蒸し暑い。  

 よく、「日本の夏は海外と違って蒸し暑いからぁ~。」などと何人目線なのか分からないコメントをドヤ顔でのたまっていたのだが、少なくともシンガポールの湿度は日本と同等以上に高いらしい。
 また、何の根拠もなく「赤道付近の国々は日差しこそ強いが湿度は低いため日陰にいれば乾いた風が吹き抜け快適に過ごせる。」というイメージを抱いていたのだが、どうやらそれも間違いだったようだ。  

 気温も高く湿度も高い、言うまでもなく日差しも強い。日本の夏をサウナとするならば、こちらはサウナに入った状態で赤外線ヒーターを当てられ続けていいるようなものだ。なぜ死者がでないのか不思議だ。  

 開幕早々愚痴ばかりになってしまって申し訳ないが、時はシンガポール旅行二日目。私と友人はホテルから徒歩でマーライオン公園に向かおうとした結果、まさに今、道に迷って死にかけているのだ。  

 訪れるもの全てを落胆させるというシンガポール1のがっかりスポット、マーライオン公園。  
 当初訪れる気はさらさらなかったこの公園だが意外とホテルから近いことが判明し、せっかくならばと2日目朝に立ち寄ることとなったのだ。  

 汗だくとなった我々が辿り着いたマーライオン公園は、ガッカリスポットの名をほしいままにしているにも関わらず多くの観光客でごったがえしていた。  
 公園の大きさは学校のグラウンド程度で、植え込みの中には小ぶりなマーライオン像が数体立ち、中央の噴水では5、6メートル程のでかいマーライオンが口から水を吐いている。つまりマーライオン像のある普通の公園だ。

 終わった。
 この公園に着いた瞬間、一目で観光すべき部分を見尽くした。  

マーライオンの置いてある公園、
それがマーライオン公園。


 内心そう悟ってはいたのだが、灼熱の中数十分歩き回ってたどり着いた場所の観光を数秒で終わらせるようなことはできない。  
 どうやらマーライオンの背越しにマリーナベイサンズの写真を撮るのが人気であるらしく、我々も周りの観光客に倣い写真を撮る。ついでにそれぞれマーライオンとの写真も撮る。遠近法を利用してマーライオンのように口から水を吐く友人とマーライオンの水を口で受ける友人を撮る。同様の写真を私も撮られる。

 終わった。
 限界まで楽しもうと努力したがここで他にできることはもうない。

マーライオン公園、
それはマーライオンが置いてある公園。


「帰るか。」

 友人と私は薄ら笑いながら、どちらともなく公園を後にした。滞在時間は多めに見積もっても十分程度だった。  

 けれども、正直なところ思いのほか楽しめたのも事実だ。期待値が極限まで低かったせいもあるかもしれないがなんやかんやでシンガポール=マーライオンというイメージが強いのと、公園からの景色が良好だったことで「お、シンガポールに来たな!」という気分を十分に味わえた。ガッカリスポットではない。道すがら寄るのはイイじゃんスポットだった。  

 数分程度の観光でそれなりに充実した気分を味わった我々は、地下鉄へと飛び乗った。目的地はもちろん、本日のメインイベントであるシンガポールエスニックタウンだ。

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