ブーイングと子育てと
わたしは、一時が万事、考え方が重い。
急に何の話だという感じだけれど、この重さ故に、考えすぎてしまう。
ブーイングの文化
ブーイングという行為が個人的に苦手だ。これはまず、スポーツ文化に触れてこなかったことが大きな要因だと思う。日常生活では遭遇することがなかった。だから、ブーイングされたら泣いちゃう、みたいな、自分のオトーフメンタルを引き合いに出して、あぁ怖いなぁと思ってしまう。
郷に入っては郷に従えということで、古の言い伝え、「半年ROMれ」を実践した結果、ブーイングにも色々とあるんだなということが分かった。
文化的なものや、愛情、切なさ、奮起への期待など、言葉では言い表せないものをはらんでいるんだと、今は思っている。
アウェイ鹿島に足を運んで、ワクワクでハム焼きの列に並んでいるところにヴェルディバスがやってきて、待ち構えた鹿島サポーターに大ブーイングをされていたのを目にして、これが鹿島のアウェイか!と驚くと同時にゾクゾクした。なるほど、文化。
ヴェルディのサポーターは基本的にブーイングが少ないように思う。これはライトなサッカーファンとしてはとてもありがたかったし、ヤジも苦手なので、ヤジが少ないのもありがたい。
ホームゲームの際はアウェイサポーターに「ようこそ味の素スタジアムへ!」の拍手をする。わたしはこれが好きだ。わたしの気質に合っている。
理解はするけど、理由を整理できないブーイングはやっぱり怖い。
理想の応援の形
わたしがヴェルディのサポーターが好きだ!ゴール裏に行ってみたい!と思ったのには明確なきっかけある。それがアウェイの町田戦だ。
前年からの因縁もあって、ちょっとこう、アレな対戦。因縁自体は知識としてあったけれども、天空の城での工夫された演出やら、奇想天外なマッチョな演出やらでもてなされ、楽しく、まっさらな気持ちで見ているわたしには、痛んでいる町田の選手へのヤジは聞いていて辛かった。試合展開も辛いし、ブーイングもヤジも飛ぶ。あぁ、これがスポーツ観戦のもう一つの顔だよなと思ったりする。
しかし、団体さんの声かけが素晴らしかった。「矢印は自分に向けて、自分たちのできることを、応援をしよう。」みたいなことを言ってくれたと思う。ちゃんと覚えていなくてごめんなさい。とにかくとても感動して、しきりにすごい!!すごい!!と言っていた。
そして、ヤジやブーイングが大きくなるときにには、チームを鼓舞するチャントを始めてくれる。殺伐とした雰囲気が、チームを応援する雰囲気に変わる。
誰かの思いを否定することはできないけれど、わたしはやっぱり相手チームにリスペクトを持って、自分の好きなチームを応援したいなと思った。
試合は完敗だったし、試合の雰囲気も悪かった。
(話題のPK水掛けのアレ初回もあったし)
それでも、我々は挑戦者の立場なんだから、また応援しよう、もっと応援しようと思った。
(とはいえ、帰りにしっかりした量のビールを飲んだ。バス待ちがエグかったので、小雨の中徒歩で多摩センターまで歩いたのも、気持ちのやり場のなさに拍車をかけた。)
サッカーと育児
その後、無理のない範囲のアウェイ戦と、ほぼ全てのホーム戦に行っている。試合は毎回、心臓が痛くなるほどドキドキするし、天国か地獄みたいな気持ちになるけれど、すごく充実している。Jリーグを、ヴェルディを好きになってよかった。
しかしながら、時にはちょっと…と思うブーイングやヤジが飛んだりする。
仕方ない。それういうこともある。
そんな時に、子供が安易に同調することがあった。レフリーへのブーイング。これは、わたしの中ではアウトだ。レフェリーへのリスペクトは絶対に必要だと夫から再三言われているし。
しかし、わたしが一方的に否定することはできない。例えそれが自分の息子でも。重さが発動する。一瞬で色んなことを考える。あいにく夫はいないから、わたしが彼に伝えなければ、と思ってとりあえず聞いてみる。
「今のブーイングはどんな意味?」
息子は答えない。
「自分でしっかり考えた上でのブーイングなら否定しない。でも安易なブーイングはどうかと思うよ。」
わたしの気持ちだけ伝えた。
彼はすぐにやめたけど、思春期に片足突っ込んでいる彼の本心は分からない。
小学生にはノリとか勢いとかあるよね。わかる、わかるよ〜。
人を傷つけるノリって嫌だなぁ。
安易に否定を持ち出すのってどうなの、う〜ん…。
新たな育児の悩みの出現。
子育てには、時と場合で色んな知識と対応力が必要だが、いつも思う、どちらも足りない。
結局その後、息子がそういうことをしているのは見ていない。わたしの意見を採用したのか、自分で考えたのかは分からない。
きっとそのうちに、子供と一緒に試合を見ることも減るだろう。どんなことも、きっと息子の方が詳しくなるし、彼なりのいろいろな形を作っていくだろう。
わたしよりヴェルディファン歴の長い彼は、これからどんどん伸びていく思考力や観察力を活かして、自分なりのスタイルを確立していくんだと思う。
きっとこのことは息子は忘れてしまうと思うんだけど、いつか未来で、お互いの考えなんかをお酒を飲みみながら話せたらいいなと思う。