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夢破れて四畳半あり

 四畳半タイムマシーンブルース   著・森見登美彦
                  原案・上田誠

灼熱地獄と化した京都で、学生アパートに唯一のエアコンが動かなくなった。妖怪のごとき悪友・小津が昨夜リモコンを水没させたのだ。残りの夏をどうやって過ごせというのか?「私」がひそかに想いを寄せるクールビューティ・明石さんと対策を協議しているとき、なんともモッサリした風貌の男子学生が現れた。なんと彼は25年後の未来からタイムマシンに乗ってやってきたという。そのとき「私」に天才的なひらめきが訪れた。このタイムマシンで昨日に戻って、壊れる前のリモコンを持ってくればいい!小津たちが昨日の世界を勝手気ままに改変するのを目の当たりにした「私」は、世界消滅の危機を予感する。

あらすじより

さてさて、まずは、ざっくばらんにこの2人の登場人物を紹介したいと思います。

重要人物 その1   運命の黒い糸で結ばれた!?悪友・小津 

野菜嫌いで即席ものばかり食べているから、なんだか月の裏側から来た人のような顔色をしていて甚だ不気味。夜道で会えば、十人中八人が妖怪と間違う。(まぢかっ!?)そして、残りの2人は妖怪なのだそう。(さすが京都やなぁ、おそろし。)
弱者に鞭打ち、強者にへつらい、わがままであり、傲慢であり、怠惰であり天の邪鬼であり、、他にも挙げられることはあるけど、特筆すべきは他人の不幸をおかずにして飯が三杯喰えることだろうか。(近づきたくないなぁ)

重要人物 その2   「私」が密かに想いを寄せるクールビュウティ・明石さん

朝顔の観察に余念のない小学生のごとく、真摯な眼差を持ち合わせている。
ラムネをグイ飲みする姿が微笑ましい。
彼女が持っている小さなくまのぬいぐるみのもちぐまが「私」の未来を左右することになる。

そして、あちこちに散らばってる四畳半フレーズ。映画サークル「みそぎ」、妄想鉄道サークル。
銭湯オアシスの殺人電気風呂やマッサージチェア、農学博士のヘンタイ青汁の三大拷問装置など、四畳半好きなら心浮かれるんじゃないだろか。この三大装置、身近にあっていいのか悪いのか、判断に迷うけど、きっとオモチロイ物には違いないだろう。

このタイムマシン騒動に関しては、昨日の小津今日の小津など入り乱れて若干混乱をきたしつつも、四畳半世界の阿保マイナスイオンを心ゆくまで浴びることが出来て大変満足。時季も臨場感を味わえる時に読めてホクホク気分です。善きかな善きかな。

果たして、この夏は「私」にとって〝有意義な夏〟になっただろうか。

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