なぜ統失 第7部「現代デイケア編」②アタオカ先生とベゲタミン。
前回の続き。
今回は、
元主治医のアタオカおじいちゃん先生と、
ベゲタミンについて語りたいと思います。
隠居寸前のアタオカ先生は、
腰は90度に曲がり、
乳母車を押さないと歩行することも困難な様でした。
耳は既に遠くなっている様で、
診察室にはお付きの看護師さんがいて、
耳打ちになんと言っていたのか尋ねていました。
診察の合間に、
頻繁に乳母車を押しながらトイレへと向かいます。
恐らく齢80は遠に超えて居たでしょう。
引退寸前の頃には、
かなりボケて来ているなと感じました。
ここの病院の一番偉い院長先生でした。
うちの母親が、
よく診察の際に菓子折りを持参していましたが、
アタオカ先生は、
甘いものが嫌いなのか、
菓子折りが気に入らない様で、
何も言わずに、
顎でクイッとお付きの看護師さんに指示をし、
菓子折りを片付けさせていました。
ちょっと態度が悪いなと思いました。
アタオカ先生は診察室で、
蒸気機関車のDVDを流しっぱなしにしていました。
アタオカ先生が、
わざわざ中国まで行って撮影した物だそうです。
ある日アタオカ先生が、
「この動画は、ええっと〜、あれ、あそこっ!、インターネットの…あれで売ってる」
どうやら売り物らしいです。
色々とこっちから質問して聞き出した結果、
Amazonで売っていると言う事が分かりました。
家に帰ってから調べてみると、
ちゃんと売っていましたよ!
ちなみに評価は一つも付いてませんでした(笑)
こんなもん誰が買うってんだよ…
退院してから暫く経ったある日の診察の時に、
「えぇ〜、ベゲタミンが製造中止という事で出せなくなったので、代わりに別の薬を処方します」
とアタオカ先生が言いました。
するとお付きの看護師さんが、
「同じ効果の薬があるから安心してね」
と言ってフォローを入れました。
ベゲタミンの代わりに2種類の薬が追加されました。
ベゲタミンは3種類の異なる成分の薬をかけ合わせた、
強力な向精神薬なのですが、
別々にそれぞれの成分の薬を処方する事で、
同じ効果を再現する事が出来るのです。
最強の睡眠薬と言われていました。
飲む拘束衣とも言われています。
依存性が強く、
薬物乱用が問題となり製造中止となった薬です。
この頃は、
あまりにも大量に薬が処方されていたので、
様々な副作用に頭を悩まされていました。
なので、
こっそり自分で薬の量を調整し、
自分の体で人体実験を繰り返していました。
その結果、
ベゲタミンが一番気持ちよく眠りに付く事ができる薬だと感づいていました。
なので、
ベゲタミンをよく眠れる貴重な薬だと思い、
かなりの量を溜め込んでいました。
ベゲタミンが処方されなくなってからは、
溜め込んだ物を寝付きが悪い時に飲んでました。
まぁ、新しく追加された薬でも大体眠れてましたけどね。
続く。
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