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オトジェニック・宮内優里『ワーキングホリデー』(2011年)

若い友人から、宮内優里さんというミュージシャンの音楽がいいですよと奨められ、初めて聞く名前だなあと思いながら、送られてきた音源を聴いてみたら、これがすこぶるいい。送られてきた音源は星野源さんがボーカルをつとめたものだが、源さんのボーカルとメロディーが溶け込んでいて心地よい。星野源ファンを自認するその友人も、つい最近、人に教えてもらうまでは宮内優里さんのことも、源さんのこの曲のことも知らなかったようである。
さらに友人の情報によると、高橋幸宏さんに見出されたミュージシャンだそうで、俄然興味がわいてきた。さっそく『ワーキングホリデー』を取り寄せたら、その名前から私が勝手に女性を想像していたのは間違いで、男性のミュージシャンだとそこで初めて知った。それくらい私にとってはノーマークのミュージシャンだったのである。
CDの帯に書いてある略歴を読むと、「和太鼓奏者の父とジャズシンガーの母のもとに生まれる」とあって、音楽的環境に恵まれて育ったことがわかるが、そもそも和太鼓奏者の父とジャズシンガーの母は、どうやって知り合ったのだろう?…ま、そんなことはともかく。
さらに略歴を追っていくと、自身の活動以外ではpupaのリミックス作品へ参加したり、TYTYT(高橋幸宏、宮内優里、高野寛、権藤知彦)として活動するなど、完全に高橋幸宏ファミリーではないかと、初めて知った。なるほどそれでこのアルバムに原田知世さんもゲストボーカルとして参加していたのか。
ボーカルのある曲だけではなく、半分はインストゥルメンタルの曲で、そのバランスがとてもよい。いまではボーカルがないと物足りないと考える若者ばかりになってしまったのではないかと勝手に嘆いているが、インストゥルメンタルの曲を大事にしているのがうれしい。
「エレクトロニカ」という言葉も恥ずかしながら初めて知った。YMOの影響を受けているのかなと思ったら、そうではなくてSKETCH SHOW(高橋幸宏と細野晴臣のユニット)の影響を受けていたんだね。そう言われれば、いい意味で「枯れた」感じのする、というべきか、そぎ落とした感じのする、心地よい音の質感は、まさにSKETCH SHOWそのものだ。

心地よいメロディーとともに、こうして高橋幸宏さんのボーカルの曲を残してくれてありがとう。

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