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ある日本語支援者としての気づき・教科書について

🔔外国にルーツを持つ子供さんへの対面レッスンで感じたこと🔔

私は昨年の夏に学習者さんに頼まれて来日して間もない彼の子供さんに日本語を教えることになりました。

来年春の高校入試を控えている中学生の学習者さんなのですが、ゼロ初級なので先ず「ひらがな」「カタカナ」そして、基本的な語彙と簡単な日本語表現を指導していましたが、地域の学習支援を主としたボランティアグループに加えてもらいました。

日本語のみならず今後の高校入試を睨んで今後は学習支援に長けた元小学校で管理職をされていた先生のサポートをさせて頂くようになりました。

日本語教師養成講座で420時間の学びを修了しておられる先生は小学校での長年に渡るご経験をお持ちなので私にとって多くのことを学ばせて頂いています。

🔔 その1は、教科書のこと 🔔

この教室で使っている教科書は『日本語初級(凡人社)』でした。
この本は25年ほど前に発行された本で、例えば、電話といえば黒電話はあの時代でも時代遅れとは固定電話だったり、言葉も古い表現が多いものでした。

しかし、教科書の内容をそのまま教えるというよりは教科書を使って教えるというスタイルでした。

これは、コロナ禍前に別のグループで知り合ったご高齢の日本語教師の方が言われていたスタイルに共通するスタイルであり私のスタイルとしてもやって行きたいと考えているものでした。

この先生は当時85歳の方で日本に帰国するまでは中国の大学で日本語を教えていたとお聞きしたので、『どんな教科書を使っておられましたか』と、そして、『教科書は手作りでした』と言われ、次のように言われました。

『手作りせざるを得なかったのは当時の時代背景、中国における当時の地方の大学の状況があったのは間違いとしても、必ずしも、悪いことばかりでもなかったと思う』とも言われていたことが今も強く印象に残っています。

この方は言葉を続け、確かに苦労は多かったけれど学習者さんの状態をキチンと把握して、それに合わせて教科書を作り、教えられたからねと言われました。

何やら現在ご一緒させて頂いている先生に同じ匂いを感じるので多くの学びを得た気になっているのかもしれませんね。

🔔 その2は、学習者さんとの関係性のこと 🔔

現在のボランティアグループの先生が長らく児童生徒の教育に携わって来られた専門家だという目で私が見ているからなのかもしれませんが、学習者さんの心理を的確に掴み、心に寄り添い、学習者さんの知りたい、やってみたいというポジティブな方向に心を向かわせ、時にはちょっと上のレベルに無理なく向かわせておられるのを横で見させて頂けるのは感謝なことです。

先生は言っておられました。
学習者さんには高校進学など期限の定まったゴールがあるので全く焦る気持ちがないわけではありませんが、「急いては事を仕損じる」の言葉通りで、急いで暗記などで詰め込むより「自分で日本語を使って考えられる力」をつけてもらう事が大事だと。
たとえ多少の時間が掛かっても確実に基本的な必要最低限のことを覚えてもらわないと駄目だけど、入試では合格点を1点でも越えて合格してもらえれば良いんですから。

🔔 日本語学校等の日本語教師になれば(検定試験等に合格して)  🔔

もっとアカデミックで且つ深い日本語の学び、シラバス設計など多くのことが学べ、国家資格化したライセンスを生かして社会的ステータスも爆上げ出来るのでしょうが、これまでの、そして、これからのボランティアとして得られる学びをより多方面に生かしていければと願っています。

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