島の生活

「潮の香りがする!」
島を出るまで、私にはわからない感覚でした。
いつもの香りだから。
大学へ進学し、初めて帰省したGW。フェリーから歩いておりる桟橋で、初めてこの言葉の意味を理解しました。
「あー。するわ。これか………」
少し寂しくなりました。

大学では、
「島ってなんなん?何があるん?何するん?」
帰省までの1ヶ月で、それなりにイジられました。
「なんもないなぁー 釣りは年中できる。ミカンがある。夏はどこでも泳げる。それくらい?」

「え? ヒマじゃないん?」

確かに。街で育った人には分からないかもしれない。若いなら尚更。
でも、不思議とヒマじゃない。何かしらやってたし。楽しんでた。
街の人たちが、お金を払って、時間をかけて移動してすることを、タダでやりたい放題。
めちゃくちゃ贅沢な時間だったと思う。
今、40歳手前にしてようやく理解してきた。

部活終わりに、練習着のまま海に飛び込んで。売店でおでんを食べて、また飛び込んで。
暗くなったらそのまま自転車で帰る。
夕凪の中。蚊に刺されながら踏む、自転車のペダルの心地いい重さ。

暑くなるとぼやっと思い出します。
ちょっと、暑くなるのが早いですけど。
今年の夏は、いつ帰ろうかな。
お腹いっぱい、お刺身食べたいなぁ。


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