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愛を語る人。

愛が何か、考えることがあるの。
なんだと思う?
物語の中じゃ、とっても"イイモノ"よね。愛さえあれば、どんな苦難も乗り越えられる。
そう……まるで万能薬。
私だって、別にそれを忌避しちゃいないわ。そうよ、私だって誰かに愛されたいもの。人間、誰でも同じよ。私みたいなのでもね。
理想を追い求め過ぎてるのかしらね?
自己愛が強いと感じたことはあまりないのだけど、簡単に誰かと繋がりたいとは思わないの。自分を安売りするような真似は、少なくとも私にとってはナンセンスだわ。
恋人がいた経験がなくたって、だからこそ、私はチョロい女なんかじゃないの。
付き合うなら、突然ふわっと何処かへ行くことを許容してくれて、待っていてくれる人がいいわね。焦ったり怒ったりせず、静かに、それでも熱く待っていてくれるの。
そして、帰ってきた私の話を興味深そうに聞いてくれるのよ。
よく分からない?
例えば、私が今この瞬間、突然よ、ラスベガスに行くって言うの。さっさとチケットをとって、カバンを持って、振り返りもせずに行っちゃうの。そして、満足するまで帰らない。連絡だって、気紛れ。
着いてきてもいいけど、きっと私、貴方を向こうで置いてけぼりにして遊んじゃうわ。
それが私。
そういう人間に、貴方耐えられるかしら。
……孤独と自由は紙一重よ?
独りでない人に、自由はないわ。
いいの、気難しい女だって言われるのは慣れてるし、私自身、時々自分でも驚くくらい頑固で扱いづらい女だって気付かされるから。
でも、たまにはそんな自分を気に入ってるの。求めているものが、私の中にちゃんとあるって錯覚できるのね。
……話がズレちゃったわね。愛の話だったっけ。
貴方はどう思う?
愛って、何かしら。
ぜひ、じっくり考えてみて。答えが出たら、一番に私に教えてちょうだい。
さて、私は飲みすぎたから帰るわ。
……私の答え?
そうねぇ。絶対誰にも言わないでね、私と貴方の秘密よ。約束ね。
私は、愛を星だと思ってるの。
そう、空に浮かんでる綺麗なやつ。
見えるも見えないも、その数も、環境と気持ち次第ってところがそれらしいわ。
それじゃ今度こそ、もう行くわね。またいつか会えたら、話しましょ。
ばぁい。

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