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大学教員公募の書類選考:これまでの研究と今後の抱負 【雑魚のくせに准教授になった僕が語る】
関西中堅国立大学の生命科学系の准教授です。助教・准教授の公募を併せて、これまで42大学に応募しました。そのうち面接に進んだのは10校です。
「打率3割以下じゃん、こいつ雑魚だな」と思われたら、この先は読まなくて結構です。
この記事では、雑魚で不完全な僕が何とか准教授までたどり着いた方法を提供できたら、と思っています。
✔️ いきなりですが質問があります。こんな状況に陥ってませんか?
研究の抱負の書き方がわからない
そこそこの研究業績があるのに面接に呼ばれない
受かる気がしない
これに当てはまるなら僕と状況がそっくり。この記事が参考になるはずです。
僕が書類選考に落ち続けた理由
結論からです。
数打ちゃ当たる作戦をしていたから
「これまでの研究と今後の抱負」がイケてないから
上記について説明します。
1 数打ちゃ当たる作戦をしていたから
応募できそうな公募をみつけると、応募してませんか?
断言します。数打ちゃ当たると思っている限り合格はないです。
『いやいや、だって応募しないと採用されないじゃん、、、』って思うかもですが、大きな間違いです。
というのも、大学は、その分野の教育・研究を回すことができなくなっているから公募をします。安心して任せられる人が欲しい。なので中途半端な人材は必ず弾かれます。
自分の分野と合致しない公募は避けるべき。
絶対に受からないです。
僕も多少の専門分野の違いは無視してました。
例えば、僕の専門は発生生物学ですが、これを差し置いて薬物動態の公募に応募したことがあります。もちろん結果は不合格です。
自分にハマった公募にだけ応募すべきです。
✔️ 公募の募集分野が分かりにくいケース
とはいえ、募集分野が大雑把で捉えにくい場合もあります。
例えば、募集分野が「生物学」のケース。
こんな時は、大学のホームページから退官する教員の専攻分野を調べます。
合致するなら応募しても良いです。
しかし、お勧めしません。
募集分野が広いと猛者がやってきます。なので、かなり研究業績がないと、太刀打ちできません。
専門が広すぎる公募は負けます。
✔️ 「その講義、任せてください」と言えますか?
旧帝大を除く殆どの大学では研究に専念することはできません。年間数科目の講義を、責任者として受け持つことになります。
なので、主要担当科目をきっちり教えられることが採用の必須条件です。自分にハマる公募は、担当科目で判断できます。
担当科目を教えられないのなら、その公募は見送るべき。時間の無駄です。
✔️ まとめ
無駄な応募は控えましょう。
自分にハマる公募が出るのを待つべし。それが一番の近道。
勝算は、採用後の担当科目で見積もろう。
2 「これまでの研究と今後の抱負」がイケてないから
ある程度の研究業績を前提にしますが、きちんと書類がかけていれば、時々面接に呼ばれます。
✔️ 面接に呼ばれない人の問題点
残酷ですが結論は以下の通りです。
研究内容が意味不明でつまらないから。
考えてみたら当たり前ですよね。
あなたが採用する立場だったとしても、「研究内容が意味不明でつまらない」の人は採用しませんよね。
そこで、一撃で解決する方法をご提案します。
✔️ ストーリー性を持たせる
助教・講師クラスの書類によく見られるのですが、
大学院生、ポスドク、助教の時の研究テーマがそれぞれ独立したものとして書いてあるケース。
これはお勧めしません。つまらないです。
お勧めは、
「大学院生から現在に至るまで・・・・をキーワードに研究してきました。大学院生時は主にフェノタイプを調べ、ポスドク時にはメカニズム解明をおこなってきました」
といった風に、一貫性(ストーリー性)を持たせることです。そうすることで応募者の研究ビジョンも伝わりやすくなります。
「そんな都合よくいくわけないよ、雑魚だろこいつ」と思うかもですが、案外うまくいきます。例えば、がんと腎臓病の研究をやってきたなら、「疾患発症」というキーワードでいけます。海洋研究と地質学研究でも「地球の成り立ち」でいけます。自分の研究を貫くキーワードを見つけてください。
✔️ 他人の研究は評価できない
馴染みの無い研究分野の発表を聞いていると、「よくわかんない」ですよね。応募者の研究も一読してパッとわからないです。
でも、Natureって書いてあると、「すげー」ってなるじゃないですか。
結局、他人の研究を正しく評価するのは難しいんです。手っ取り早く評価を教えて欲しい。「評価されてます」っていうメッセージをうまく採用側に伝えると面接に到達する可能性が爆上がりします。
僕はNatureはありませんが、『評価が高い』ってことを上手く伝えられたおかげで、なんとな公募を勝ち抜きました。
以下にまとめます。
✔️ インパクトファクターよりも着実性をアピール
僕にトップジャーナルはありません。なので、一撃で「研究の質」を伝え、相手を黙らせることはできませんでした。
なので僕は、コツコツ論文を出しますという着実性を伝アピールしてました。
「今後もコンスタントに論文出しますよ。安心できる人材ですよ」ということを伝えるんです。
大学側にとって最も厄介なのは、採用した教員が全く論文を出さないケースです。その心配を除いてあげてください。
例えば、こんな感じです。
私は○○の研究を行ってきており、着実に研究成果をあげてきました。ここ3年だけでも○○に関する論文は、5編の論文を発表しています。特に2022年に報告した論文は、○○の分野では従来用いられていなかった●●法を用いた点で高い評価を受けています。●●法を用いた○○研究は、世界で私だけが行う非常に独創性の高いものです。事実、国内外から共同研究の依頼がありました。またこの論文は昨年度だけでも35回も引用されており、現在も被引用回数は伸び続けています。貴学ではこの研究を更に応用・展開し、△△の解明に取り組みたいと思います。
着実性を出すためには、自分のフィールドをアピールすると上手くいくことが多いです。どんな小さなフィールドでもOKなので、強調して書くべきです。「高く評価されている」とか「独創性」とかは、言ったもの勝ちです。
でも、書類選考を突破するには、そのエビデンスが欲しいですね。
✔️学会賞
どんな小さな学会賞でも他人が高く評価していることが分かります。
ぶっちゃけ、「〇〇賞の候補演題になりました」でも構いません。
書けることは全部書く。このマインドを心がけてください。
✔️被引用回数
「論文の引用数=評価」です、たとえNatureでも引用されなければ、雑魚論文と同じです。
ここ5、6年で、論文の被引用回数はインパクトファクターに並ぶ研究業績になりつつあります。
被引用回数はGoogle ScholarやScopusで調べられます。
特にScopusでは、被引用率のランキングを示してくれます。もしあなたの論文が上位にランキングされてたら必ずアピールすべきです。
まとめ
最低限の論文業績があれば、書き方次第で必ず面接に呼ばれます。一流誌が無くても雑魚には雑魚の戦い方があります。
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