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指定難病を患った話12.【ついに立てた!治療とリハビリ】

前回までのお話でグロブリン療法を
試してみることになりました。

点滴1日目、2日目は特に身体の
変化はなく、
副作用らしき症状もありませんでした。

グロブリンの点滴に使う機械は
扱いに少しテクニックが必要らしく、
点滴液の垂れ方が少しズレると
すぐ機械が異常音を発してやり直し。

看護師さんもかなり手こずって
何度も出入りしていました。

グロブリンの点滴が通る管は
必ず妻のお父さんからいただいた
厄除けの布の上に置いて
私の腕の中へと流れるように設置。

特定の教えを信仰しているわけでは
ありませんし、
むしろ今まで神に背く行いばかり
してきましたが、
この時ばかりは藁をもすがる思いでした。

この間、リハビリ担当の方も
献身的に取り組んでくださり、
椅子からの立ち上がりを想定した訓練や
歩行練習、自助具を用いた食事の仕方を
教えていただきました。

その甲斐あって
当初は看護師さんに
全介助してもらって食事していたのですが、
手の甲にはめるタイプのスプーンや
握る部分が太いタイプのスプーンなどを使い、
薬の効果ではなくリハビリによって
自分である程度、
食事がとれるようになっていました。

同じ病棟で友達ができたのもこの頃でした。

脳梗塞や脳卒中患者を診ている
脳神経内科、外科の病棟は
基本的に喋れない方が多かったり、
部屋から出れない方も多いのですが、
1人でリハビリに励む、
言い方は少し悪いですが、
このフロアでは比較的元気なおじさん。

ある時目があって、
そこから話が止まらなくなり、
気付けば退院の日まで
毎日会話していました。

話を聞くと
野球の試合の審判をしているとき
脳梗塞で片麻痺状態で
倒れて緊急搬送されたそう。

おじさんは70代後半で
仕事をリタイアしてからは
お孫さんに恵まれて
悠々自適な毎日を送っていたそうです。

おじさんからみたら
私はまだまだ働き世代。

「1番辛いのは奥さん」
「難病なんかに負けてたら奥さん悲しむぞ」
と普通の人ならためらう言葉も
ストレートにぶつけてきたのも
これまで病気だけじゃなく
色んな人生経験を積んできたからこそ
言える言葉でした。

点滴3日目、少し頭痛がしてきて、
あまり部屋から出ず、
noteを書きながら
ゆっくり過ごしていましたが、
なんとなく指が動かしやすいような
気がしていました。

リハビリ担当の方もそんな様子をみてか、
介護スプーンから普通のスプーンを
使うことを勧めてきました。

ただこの日も頭痛が酷かったせいか、
あまり良くなっている実感は感じられず。

グロブリン4日目の早朝5時頃、
もよおしたのでトイレにかけこみ
済ませた後に流す、洗う、拭く。

さあ看護師さんを呼ぼうとした時、
なんとなく立ち上がれる気がしました。

すると思った通り便座に手をつけば
なんなく立ち上がることができました。

「トイレから立てた!!」

8月から2ヶ月以上、
トイレに座った状態から
立ち上がることができなかったので、
驚きと感動の感情が抑えられず、
すぐさま妻や実家家族にLine。

早朝だったので反応があるはずもなく、
次は当直の看護師さんや
この数日お世話をしてくれた看護師さんに
この感動を伝えるべく、
病棟を歩行器でウロチョロ。

皆さん早朝からお忙しそうなので、
なんとなくこの場は控えて部屋に戻る。

そんなことを朝9時に日勤と夜勤の
看護師さんの入れ替わりまで
やっていると家族から喜びのLineが。

それから会う人会う人に
トイレから立ち上がれた感動を
伝えました。

看護師さんも本当に良かったねと感動、
その噂を聞きつけた担当医もかけつけ、
点滴の効果が出ているのではと
ちょっとした騒ぎになりました。

その日のリハビリでは
これまでスプーンやフォークだった食事を
介護用の手が不自由の人でも使いやすい
お箸に変更し、足だけでなく
両手の筋力回復も感じられました。

これまで触れていませんでしたが、
難病の診断がくだると
難病申請というものを
国に対して行う必要があり、
認定されるとその病気の医療費が
月額2万円以上掛からなくなり、
保険料も3割から2割負担に
減額される制度があります。

ここまでは髄液検査や神経伝導速度検査、
針筋電図検査で異常が出ていたものの、
造影剤を使ったMRIでは異常が認めらず、
確定診断されていない状況だったので、
難病申請ができなかったのですが、
慢性の経過+グロブリンが効く=CIDP
ということで
難病申請の準備が整った日でした。

そんなこんなでグロブリン最終日の
5日目。

この日は朝から調子が悪く、
グロブリン点滴前に体温を測ると37.4℃。

間違いかな?と看護師さんと話をしながら
点滴を開始したのですが、
終わった頃には頭痛や悪寒が酷く、
少し下痢気味でした。

体温を測ってみると38℃もあり、
看護師さんも少し困った様子。

何故なら万が一解熱剤で下がらない場合は
これがらなんの熱なのか調べる必要が
あるとのこと。

万が一にでも
コロナに罹っていたら大変ですし、
人の血液からつくられた薬なので、
ウィルス感染もあり得ます。

今回は幸いにも解熱剤で
翌朝には36.9℃まで下がっていたので
熱源検査はなんとか回避しましたが、
あまりにも頭痛がひどいので、
点滴5日目のリハビリはお休みしました。

治療による奇跡の連続は
この次のお話で。






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