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トルコ旅行記0:イスタンブール空港に到着しても、一息つけなかった

今回のトルコ旅行プランは、7泊10日。

まずカッパドキアに2泊、パムッカレにも2泊、そしてイスタンブールに3泊して帰国。調べに調べたこのプランに、一切の穴はないはず(詳細は以降の旅行記で)。
身軽に動いて思い出を体に詰め込むべく、スーツケースではなく買いたてのバックパックに最低限の洋服とカメラを詰めて、いざ出発!

成田空港からの出国はなんなくクリア。
手元のメモには「パスポート審査が2秒で終わって文明に感謝」と書いてあった。

普段は出張で東南アジアばかり行くので、10時間超の長時間フライトは久しぶり。自分の座席を見ると、「Sleep tight!(おやすみ!)」って書かれているエティハド航空のちっちゃい巾着にアイマスク、耳栓、歯ブラシやらがたくさん入っている。そして、座席のヘッドレストには寄りかかって寝る用の出っぱりがついている。
あまりに至れり尽くせりで、もう大はしゃぎ。今まで私の中で不動の1位を占めていたシンガポール航空の王座が少し揺らいだ。

すごいすご~い

普段の私は、電車に一駅乗るだけでも酔うし、なんならエレベーターでも酔う。
でも奮発した酔い止めのおかげで、今回の飛行機はなんとへっちゃら!調子に乗って、これまでの乗り物酔い人生を取り返すかのように映画を見まくった。
そして満足して座席の出っぱりに寄りかかって眠りについた。

「EXCUSE ME, MA'AM?!(お客様すみません!)」と耳元で大きめなお上品ボイスが響くので一体何かと思ったら、海外の航空会社あるある、「寝てないで飯食え」の時間だった。かすむ目と痛む首をさすりながら食べるクリームパスタは格別、でもなかった。

見た目どおりの味

アブダビ空港での乗り継ぎは3時間ほどあったので余裕、かと思いきや、なんと行きの飛行機が2.5時間遅れた。
日本を出る前は「はじめてのアブダビ空港だ~どんな感じなのかな~」とうきうきしていたのに、いざ着いたら寝不足で痛む頭とひねった首とでかいバックパックを抱えて真夜中にダッシュする羽目になった。デカい香水がたくさん売っていることだけは辛うじてわかった。
私は仕事の都合上よく海外に行くので、「乗り継ぎがマジでヤバいんです」の顔で人でごった返す乗り継ぎゲートを走り抜けられたが、子どもの時以来に海外に出る夫は、はるか後ろで「列に並べ」と止められて何もできずに置き去りにされていた。気づいたら視界の後ろで異国人にまみれてちいさく困っていて、かわいそうだった。

なんとか二人で搭乗ゲートにたどり着いた。
まだトルコにもついていないのに、双方へとへとである。
そして、めちゃくちゃ走ったのに、ターミナル行きのバスはありえないぐらいのんびりしていた。

びっくりするほど進まない

飛行機で自分の席に着いたら、安心してふた呼吸する間に眠りに落ちた。

イスタンブール空港はとても新しくて、とても広い。
歩けど歩けどどこにも着かないような気がした。

次の国内便の乗り継ぎまで10時間あったので、現地貨幣のトルコリラと通信用SIMカードを手に入れることにした。
渡航前はこの時間でイスタンブール市内に出てお得に手に入れようと思っていたけど、「国内線の乗り継ぎは、ここだよ」と物知り顔で夫にドヤ顔していたら、そのままうっかり乗り継ぎゲートを通っちゃっておじゃんになった(そして、空港と市内は距離が結構あるので、思い返せば無茶なプランだったと思う)。

仕方なくぼったくりレートで大量の日本円をトルコリラにする。
しょうがないのだ。
疲れ果てている状態で、まったく勝手のわからない異国の地を歩き回っていいレートの両替所を探すくらいなら、比較的安全な空港の中で手数料としてぼったくられて、浮いた時間をゆっくり座って過ごす方が精神衛生にも絶対いい。

ここまで説明しても、夫は空港Wi-Fiで検索した為替レートを私に見せて、親切にも私たちがぼったくられていることをデータで示してくれた。

どれだけぼったくられたかは最早いいたくない

SIMカードは特に問題なく手に入れられて、ようやっとカフェで一息つける条件が整った。
もう現金払いもWi-Fiがない場所での迷子もばっちこいである。

せっかくだし、と現地っぽいカフェに入ると美味しそうなデカパンがたくさん並んでいる。
本当に、本当に美味しそう。次引っ越すときは、こんなパン屋さんが近くにある街に住みたい。

ごくりと唾を飲み込む私に次の関門が現れた。
注文である。

国際空港だから英語使えるだろ、と余裕をかましていたら、店員さんはトルコ語オンリーだった。
しかも指をさせるメニューもない。
ずらりと並ぶパンと、さっさと注文してくれという顔の店員さんと、長時間フライトでぼろぼろの私の間で、静かな時間と冷や汗が流れた。
棚の前をばたばた歩きながら、なんとかパンをもらえた。

ほんとうにどっと疲れたから、もう、なんか、コーヒーが飲みたい。
でもアメリカ―ノとか言っても全然通じなかった。
それもそのはず、ここはトルココーヒーの聖地、トルコである。
「おすすめ」的な広告を指さし、人生初のトルココーヒーを注文した。

ちっちゃいカップに出てきたコーヒーをちょびっと口に含むと、なんとも豊満な香りと、コーヒーの粉が口いっぱいに広がる。
ここではじめて、トルココーヒーは粉をフィルターでこさないことを舌から学んだ。

このカップの半分くらいは粉

結局初めてのことにびっくりしまくって一息つく間もなかったので、スタバで英語でアメリカーノを注文しなおした。
いつもの濃さのコーヒーに、ようやっとほっとした。

スタバを出てテクテク歩いていると、なぜか一直線に寝転べる椅子を発見したので、次はそこで時間をつぶした。
柱の陰から、(きっと)初めての東アジア人にはしゃいでちょっかいをかけてくる子どもがいたので、遊んだり飽きたりしながら国内便の時間を待った。

とても気持ちよく晴れていた。

(次に続く)

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