日本文学概論【1】-文学史と内実-

坪内逍遥、二葉亭四迷、辺りから現代を起点として、研究を始めていた。読んだ回数で言えば、芥川龍之介と太宰治が群を抜いているが、この研究と言うスタンスにおいて、それらの周囲の小説家を一通り知っておくことは非常に重要であって、どんな作家も、一通りは目を通して置くことが大事である。

坪内逍遥、二葉亭四迷、島崎藤村、志賀直哉、夏目漱石、森鴎外、芥川龍之介、内田百閒、萩原朔太郎、藤澤清造、中原中也、宮沢賢治、小林秀雄、太宰治、坂口安吾、埴谷雄高、島尾敏雄、安部公房、司馬遼太郎、村上春樹、柄谷行人、川上未映子、西村賢太、市川沙央

ランボー、アラン、カフカ、シェイクスピア、コクトー、ドストエフスキイ

ざっと思い付いた小説家、詩人、評論家を、不順列で、書いてみた。本棚にある文庫本、単行本の、小説家、詩人、批評家、である。

自分は、単行本で全集を持っているのは、芥川龍之介だけである。後は、学生当時は、図書館で本を借りるか、文庫本を購入していた。院で研究していたのが、芥川龍之介だけだったから、適切と言えば適切か。勿論、学会にも一度行ったが、それは北海道での芥川龍之介の学会だった。今でも良い経験だったと思っている。

さて、今回の、日本文学概論【1】-文学史と内実-で伝えたいのは、文学史だけに頼った研究は問題外だと言う話である。勿論、文学史は知っていればいる程、良いのには決まっている。しかし、知識だけを知っていることに、何の意味があるだろう。要は、その当時のその文学が、当時の文壇を掌握した理由と意味を探らねばなるまい。

例えば、芥川龍之介で言うと、自殺直後、「敗北の文学」と言われ、また、小林秀雄の「様々なる意匠」が、芥川の後を継いだということになる文壇において、今述べたことは、文学史である。要は研究せねばならないのは、芥川が何故自殺したのかを、小説から読み解くことである。そして、述べた自殺の原因を、遺稿「歯車」から理解すること。こういう研究こそ、まさに文学の研究である。知識の研究ではなく、物事の内実の研究こそ、研究の成果として、誇れるものだ。芥川の死を、小林秀雄が乗り越えたことなど。

また、様々に小説を読んでいると、小説からだけでは分からない、或る知らない側面が出てくるものである。以前、藤澤清造の随筆集を購入して読んだが、当時の芥川の面白い側面や性格が書かれていて、読んで正解だった。太宰治も、芥川の自殺に大きく影響を受けているし、文学史の知識よりもっと大切な、小説家の内実を知ることが大切だ。小説家たちは、相互に関係しあっている。こういうことを言いたかった今回だが、この辺で、日本文学概論【1】-文学史と内実-を、終わりとする。

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