1・『猫と不条理』

1・『猫と不条理』

猫が居た夜、そこは、自分の散歩道の一角だった。真っ直ぐに坂道を、いつもの散歩コースで歩いていたら、正面に猫が座って居た。こちらを、懐疑的に見ている。

どうともなく、進んで行くと、猫はその一瞬目を逸らした、自己の視界から消えてしまった。こう言う体験は、昔にもあったことだが、長らく散歩で猫に会って居なかったので、この視界から消えるは、懐かしい様でもある。

ところが、今回の猫は、自分より、懐疑的で、坂道を其の侭、進んで行くと、何と自分が振り返ったその場所に、猫が後に座っていた。こういった初めての感覚を得た自分は、取り敢えず今日は、猫とはおさらばした。

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