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She Glass

あの日の私は硝子片
思春期特有の壊れ物
あの日のアナタは海の砂
運命の満ち引きに翻弄される海底の砂礫

その有様に惹かれて落ちていく
熱く冷たい恋の海原
アナタに抱かれて転がり回る
前後不覚の愛の濁流

私の角は削がれて消えた
今や傷に塗れた磨り硝子
それでも私は硝子に違いなく
やがて波に追われて陸へと帰る

砕けてしまいたかった
いっそのこと
粉微塵になってしまえば
私も砂を名乗れたろうに

叶わぬ恋の顛末に
納得いかぬと燃え続ける
曇りを知らぬ硝子の深奥
1300℃の恋心

抱き締めよう
一握のアナタを
私の傷の隙間
僅かに残ったアナタの影を

私が砂になれぬなら
アナタもろとも硝子になろう
再形成した壊れ物
数多の傷を奇麗に隠して

平気なフリして生きていく
燃え残った熱はそのままに
いつか海に身を投げて
砕けて砂になる日まで

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