抱っこしよっか、ぐぅ。

『ジャックラッセル・テリア』1800年代　イギリス。ジャックラッセル牧師が、狐狩のために地中に潜り込めるちいさなテリアを作り出したのが、この犬種の始まりとされる。

頑固で、聡明で、恐れ知らず。小さくて、弱々しくて、何しろ可愛いこのコもいずれは男らしい『ジャックラッセル・テリア』に変身するのかと妄想をもくもくと膨らませていた。

2006年1月8日　覚えてるよ。初めて会った時の不安そうな顔。初めて抱っこした時の温かさも。小さくて大人しくて、柔らかい。初めて人間の赤ちゃんを抱いた時に感じる、あの感覚と同じだ。守りたいと思った。

2005年9月22日生まれ。兄弟はいた。らしい。名前は既に夫が決めていた。

名前は「ぐぅ。」「ぐー」の時もある。「goo」もありだ。ぐぅとの13年と９ヶ月が、思い出しすぎて溺れそうになる。insutaもドコノコもあの日から停止した。見返すことすらできないでいる。

2019年7月1日　わたしの腕の中で静かに息を引き取った。嘘だ。一度だけ大きく息を吐き出すように「フッーー」と声がもれた。その声にならない声が最期だった。死の間際に出る声は人間にもあった。母の「あーー」と大きな声を思い出した。しばらく、リビングでしゃがみ込んだまま「ぐぅ」を抱いていた。

あれから、秋になり冬がきた。当たり前だが桜が咲く季節になり、いま世界中が厄介な状況に追い込まれている。あした、何もかもが変わってるかもしれない。整理をしよう。自分の気持ちに上手にふたをし、横へ積み上げてきたものに。

へらへらと笑ういぬ。困った時は片脚を上げる犬。花火はへっちゃら。雷も怖くない。女のコはだいすき。テンション高いコは苦手。干からびたミミズが好み。喋りかけると首を傾ける。キャベツの芯は食べます。葉は結構です。ヨーグルトは遠慮なくいただきます。全力で尻尾、ふれます。ボール投げは短時間でお願いします。集中力は意外に短いです。ペットボトル投げは好きな方です。ぴょんぴょん跳ねることもあります。嬉しい時です。ちょうどいい枝なんかを見つけた時です。人間に投げてもらいます。ボールより楽しいです。時々、聞こえないふりをします。集中してるからです。友達からの手紙を読んでるからです。ふむふむ。

丸ごとが「グー」

犬は飼い主の意識や生活の中でしか生きられない。全てを人間に預けている命。信頼されているのだ。だから最期まで、最後の最期までそばにいる。

安心して眠れたのか。うちのコで幸せだったか。内緒にするから教えて欲しい。

また続編書きます。

読んで頂いた方がもしおられたら、「ありがとうございます」と「ぐー」も申しております。

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