盆栽とは?初心者向けに14種類の樹形を紹介!楽しみ方や歴史も解説
ここでは「盆栽とは何か」を説明します。
盆栽と聞くと植物の姿をイメージするとは思いますが、園芸やガーデニングとは何が違うのでしょう?
盆栽の楽しみ方や何を評価して良い盆栽と言うのか、そして最後は盆栽の歴史も振り返って、盆栽の魅力をお伝えしていきます!
盆栽とは
盆栽とは、簡単に言うと鉢に土を入れて植物を植えたもの。
盆=鉢 ・ 栽=植物
鉢と植物が一体化した空間を魅せるのが、盆栽作品です。
盆栽の起源は中国にありますが、日本の誇る伝統文化としての地位を獲得しています。
盆栽の楽しみ方とは
選ぶ
飾る
作る
観る
学ぶ
盆栽には人それぞれ、いろんな楽しみ方があります。
大切なことは優れたデザインの盆栽を育てるだけではありません。本当にやるべきなのは、植物に愛情を注ぎ、自分自身が楽しんで盆栽と向き合うことです。
一人で黙々と育てて飾るも良し、盆栽仲間と交流して情報交換をするも良し。
必ずしも自分の盆栽を持つ必要はありません。雑貨店の専門コーナーや展示会に行って眺めるだけでも、盆栽は楽しむことができます。
盆栽の樹形を考えよう
盆栽とは簡単に言うと土と植物を植えた鉢です。盆栽家は植物を活き活きと育てながら、幹の成長や枝の長さを整えます。
大事に育てた盆栽を飾って、鉢と植物とその周辺の景色が一体化したとき、その喜びはひとしおです。
盆栽は育てる植物、それを入れる鉢など考えることが多くあり、初心者は理想を想像する際にこれから紹介する基本的な樹形を参考にすると考えやすいです。
盆栽樹形の種類
真っすぐの樹形
曲がっている樹形
多幹の樹形
少し特殊な樹形
樹形の種類は多様なので、全て伝えるのはキリがありません。
ここでは大体の形を4つにグループ分けして、その中で主な樹形を紹介しています。
1.真っすぐの樹形
直幹
文人木
箒立ち
・直幹
直幹は1本の幹が垂直に真っすぐ伸びた形。盆栽の中でも基本の1つとされる樹形です。
見た目は左右対称のおにぎり型でシンプルに見えますが、実は完璧に仕立てるのが最も難しいと言われています。
左右対称が故に手入れを怠ったとき、左右差のバランス崩れが目立ちやすいのです。
難しい調整を続けて誠実に作られた、真っすぐで整った直幹の盆栽はとても美しく感じます。
【ポイント】
例えば直幹以外の樹形であれば、枝が一本枯れたときは枯れた枝を切り取って、他の枝の角度を変えて空いた空間にあてがうことができます。
しかし直幹は枯れた枝の左右反対にある枝の広がりや形を見て、バランスよく整えないといけません。
・文人木
文人木は細い幹が天に向かって曲がりながら伸びる形。元は中国の「南画に描かれた樹」を手本にした樹形です。
書画・骨董・詩歌などに携わる知識人によく好まれていため「文人木」と呼ばれているとか。
※文人=学問に精通した人
【ポイント】
一筆書きで描いたような幹と最小限の枝でデザインされたシンプルさが魅力です。空間デザインとテクニックによるセンスが仕立てに現れます。
樹の面積が少なく虚の空間を魅せる風景には詫び錆びを感じます。細くスッキリした姿は簡素な場所、オシャレな場所、そのどちらにも合うでしょう
・箒立ち
箒立ちは箒を逆さまにしたような形。まるで欅の木のためにあるかのような樹形です。
シンプルな見た目ですが真っすぐな幹、そして全体を見て円形を描いているかのように複数の枝を育てるのは難易度が高くなります。
完璧な箒立ちは、良性の苗木と手入れ方法を何十年も続けて出来上がる奇跡のようなものです。
【ポイント】
全方位に根っこが張って、幹は真っすぐ伸びながら途中から避けるように枝となって分かれるのが理想的です。
さらにその枝から細く糸のように小枝・梢へと分かれて半円形を描けばもう言うことはありません。
春夏の芽や葉を付けた姿も、冬の葉がない姿も細かな枝先がしっかり見えるのも風格を感じられます。
2.曲がっている樹形
模様樹
斜幹
吹き流し
懸崖、半懸崖
・模様樹
模様木は、直幹とは逆に幹が曲線を描きながら伸びた形。盆栽の中でも代表的な樹形です。
この名称にある模様は、先端に向かって描かれる枝や幹の曲線のデザイン性を表しています。
模様木は素材になる樹のバリエーションが豊富です。ヒノキや杉のように直線に伸びる樹を除けば、多くの樹が模様木に仕立てられます。
【ポイント】
模様樹は根に安定感と力強さを持ち、幹が先端にいくにつれて細かくなっていく形が良いとされています。
幹や枝の曲線美を強調しながら、枝の長さや角度を変えて全体のバランスを調整された安定感が魅力です。
・斜幹
斜幹は幹が傾いている形です。模様樹はS字のように曲がりくねっている場合がありますが斜幹は一方向にのみ傾いています。
傾いて倒れそうな幹を引っ張って支えるため、傾きと反対側の根は太くがっしりと発達。この根は「引き根」と言い、本来はアンバランスに発達した根は嫌われますが、斜幹に限っては倒れまいと踏ん張るその姿が魅力的に映ります。
【ポイント】
斜めに伸びる姿は、強風などの厳しい環境に耐えながら育つ逞しさを連想させます。
樹を斜めに寝かせて植えるのですが、幹の先端が片方に反るアンバランスさの中で、心地よい安定感のある形を見つけるのも、斜幹を育てる楽しみです。
・吹き流し
吹き流しは、強い風に吹かれるように幹や枝が伸びている樹形。
斜幹は枝の方向まで問われませんが、幹も枝も全て一方向に傾いているものが吹き流しです。
全てが一方へ向かう統一性は、同じ根・枝同士の仲睦まじい印象を抱かせます。
【ポイント】
一方にのみ樹全体が向かうので、景観を考えて置き場所を選びます。
自分が育てた吹き流しがピッタリと合う置き場所を見え付けたときの喜びは大きいです。
・懸崖、半懸崖
懸崖は幹が鉢よりも下に伸びている形。枝先が鉢底よりも下にあれば懸崖、上にあれば半懸崖です。
小品盆栽でよく見かけられ、盆栽の樹形の中でも古くからあると言われています。
【ポイント】
根元から伸びた幹が強く曲線を描き、急角度で落ちる姿がドラマチックです。
まるで崖に根を張って、風を受けながらも懸命に生きる方法を探して、岩壁にしがみついているよう。
険しい背景を想像させますがしかし、懸崖が花や実を付けると田舎の散歩道のような情景も思い浮かべてしまうのが不思議です。
3.多幹の樹形
双幹、三幹
株立ち
根連なり
寄せ植え
・双幹、三幹
双幹は根元から幹が2本に分かれて伸びている形。3本だと三幹です。
双幹では太くて長い幹を主幹と言い、細く短い幹を副幹、もしくは子幹と言います。
自然の中にはほとんど見られない形です。また、独立した2つの樹を寄せたものは双樹といって双幹とは異なります。
【ポイント】
双幹は2つの幹のバランス・コントラストが見物です。主幹と副幹で高さ・太さに差が大きいと親子、差が少ないとパートナーのような雰囲気になります。
双幹は枝同士がぶつかり合わないよう、主幹から副幹に伸びる枝はカットされて、副幹の枝が広がるようにされていることが多いです。また、幹の分かれ目は鋭角なV字になっているのが好まれます。
・株立ち
株立ちは根元から5本以上の樹が立っている形。上記の三幹からさらに幹が増えたものです。一つの鉢の上で林が生まれているかのような景色になります。
何本もの幹が立つ樹形は幹の数を奇数にすることが多いです。これは、日本人が昔から奇数を好んでいたという見方と、奇数の方が景色の広がりを感じられるといった見方があります。
【ポイント】
空間のバランスを考えながら、幹同士の距離感を調整して仕立てます。前後左右どこから見たそれぞれの幹がなるべく重ならないようした株立ちを作る方も。
高くて太い幹は主幹と呼ばれ、その周りに高さ・太さの異なる様々な幹が寄り添う姿は優しい気持ちになります。
・根連なり
根連なりは同じ根から出た複数の幹がまるでそれぞれ一つの根から生えたかのように独立して見える形です。
根連なりを略して「ねづら」とも呼ばれ、大きな盆栽展に行くと良く見られます。趣のある盆栽になるまでには長い年月が必要です。
【ポイント】
埋まった根は哀愁を漂わせますが、そこから同じ命を共有した幹が2本伸びています。
幹の模様や、幹と幹の間隔の取り方はセンスの見せ所です。なんらかの衝撃で倒れ、土に埋もれた樹についた2本の枝。それが長い年月をかけて二つに成長したと言えばドラマを感じさせるでしょう。
・寄せ植え
植え寄せは1つの鉢に複数の植物が植えられた樹形です。
株立ちは一つの樹が分かれたものですが、植え寄せの根はそれぞれが別の個体です。
主幹となる樹の周りに寄り添うよう、控えめに他の樹が集められます。それぞれの樹の枝がゴチャつきやすいため、全体を見ながら不必要な枝は取り除きます。
【ポイント】
寄せ植えは、自然にある実際の森や林のような景観を再現できます。
同じ樹種でまとめたり、違う樹種を入れて多様性を加えるなどのオリジナリティを出しやすいです。
4.少し特殊な樹形
根上がり
石付け
苔盆栽、苔玉盆栽
・根上がり
根上がりは根が地上に露出している形。アートやデザインに関心がある方に人気が高い樹形です。
外気にさらされ続けた根の肌は、次第に厚さを増して幹のようになります。
不思議と浮遊感を感じる幻想的なデザインですが、しかしこの根上がりは意外と自然界にもある形です。
自然界でそれは山の斜面で育ち、土砂崩れで周りの土が流されて根が露出しても、自らの生命力で逞しく育ち続けています。
【根上がりの鑑賞ポイント】
根上りは大きさの様々な根が絡み合って作る独創的な姿が魅力です。
長く育てられた背景を感じさせる色味の根、そしてその根の集合美は、他の幹に負けない味わいがあります。
また針金で姿を整えたり、はさみで数を減らしたりして、本来の根からさらに仕立て屋のオリジナリティが磨かれるのも楽しみです。
・石付け
石付けは、石に樹を植え付けたり、根を絡めたり、石が鉢代わりになっている樹形です。
良い石付きには時間が必要です。樹が成長して石と一体化してようやく立派な石付き盆栽になります。
【ポイント】
山・海・島など、その石と、石に合わせた草木の生え方次第でも感じられる風景に違いが生まれます。
その分、具体的な背景を想像しやすくなり、見える景色は雄大にも身近にも姿を変えます。
・苔盆栽
苔盆栽はその名のまま、鉢に苔を植えたもの。苔は日光をほとんど必要としないため、屋内でも育てやすいのが魅力です。
用土を球状にまとめて周囲にコケを生やしたものは「苔玉盆栽」と言われます。
【ポイント】
直射日光がなくても、半日蔭、木漏れ日の刺す風通しの良い場所においておけば、管理も簡単なので盆栽初心者にもおすすめです。
苔だけでなく一緒に樹を植えるのもいいでしょう。一種類の苔だけを育てたり、多種の苔を一緒に育てたり、石を持ってきて石付けの苔盆栽にするなど、楽しみ方はいろいろです。
好きな盆栽を見つけよう
盆栽は樹形次第で見え方が変わります。初心者は樹形から自分が作る盆栽を考えてみてもいいでしょう。
樹形次第で選ぶ樹種、育て方、仕立て方など、これから自分がどのように盆栽と向き合うのかを決めやすいです。
盆栽は鉢と土、そして樹があれば簡単に始められますよ!ぜひ挑戦してみて下さい!
盆栽の特徴的な評価基準とは
鉢映りを大事にする
正面を大事にする
自然の景観を大事にする
・鉢映りを大事にする
鉢映りとは植物と鉢の相性のこと。
盆栽は鉢も含めた姿が重要視されるため、鉢のデザインも大事です。
植物は鉢を含めて見たときの景観が美しく映えるように手入れされます。
・正面を大事にする
多くの盆栽作品には正面があり、正面とはその盆栽が最も美しく見える角度のこと。
盆栽はそこが自然を一部を切り取った風景画かのように、正面を鑑賞する見方が大切にされています。
・自然の景観を大事にする
仕上がりに人工的な雰囲気を出さないのが良い盆栽と言う見方もあります。
これは自然に任せて何も世話しないのを良しとするわけではありません。
自分の思う自然の雄大さ・自由さ・厳しさを、小さな盆栽に凝縮して見せる。
そのために1つの盆栽に手を加え、世話をして、作り上げているものに自己の価値観と芸術性が吹き込まれて、人を魅了する作品ができると考えられます。
盆栽と比較されやすい趣味との違いとは
園芸
ガーデニング
観葉植物
上記は盆栽との違いを問われやすい趣味と言えます。
どれも植物を育て、鑑賞するという点では同じです。
・盆栽と園芸の違い
植物と鉢の相性も見られる盆栽と違い、主に園芸は植物単体を注視して見られます。
器はあくまで脇役であり、植物が活き活き成長できるように栽培します。
鑑賞するだけでなく、育てて出来た実や果実を食す場合もあります。
・盆栽とガーデニングの違い
ガーデニングは日本語で訳すと「庭作り」です。
鉢よりも広い、庭全体の空間を意識して植物を育てます。
正面を決めて平面的に見る盆栽に対して、立体的な見方をされる場合が多いです。
・盆栽と観葉植物の違い
観葉植物は基本的に、常に室内で栽培できる植物を示しています。観葉植物の多くは、亜熱帯や熱帯地方が原産のものが多いです。
盆栽は基本的に屋外に出して日光に当てる時間も必要になります。盆栽に使う植物はほとんどが東アジア原産で、古くからある植物も日本や中国のものが多いです。
※あえて違いを言うならばといったもので、明確に定義が決まっているわけではなさそうです
盆栽の歴史とは
・起源は中国
盆栽は中国が起源と言われており、中国では「盆景」と呼ばれています。
今から2500年前以上前には既に、樹を植えて育てる趣味があったようです。
盆景には現在7つの流派があり、それぞれの地域の伝統を重んじた文化が受け継がれています。
その中には抽象的な見た目をしている樹形も多く、日本の盆栽のイメージを持っていると奇妙にも見えるかもしれません。
【唐の時代】
唐の時代の遺跡では世界最古の鉢植えの壁画が発見されました。
この時代では特に松の盆栽が人気だったと推測されています。
【栄の時代】
宋の時代では、植物を石に絡ませる石付き盆栽の記録が多いです。
盆石という石で、中国独自の山水の風景を表現していたのかもしれません。
【南宋の時代】
南宋の時代では盆栽の売買が活発になった記録が残っています。
【明、清の時代】
この時代の暮らしを記した書物や絵画には、盆栽が多く登場します。
このことから盆栽は富裕層だけでなく、庶民も楽しめる趣味だったと伺えるでしょう。
・日本に伝わった時期
盆栽が日本に伝わった正確な時期はまだ解明されていません。
鎌倉時代の絵巻物「西行物語絵巻」にて盆栽が描かれていることから平安~鎌倉時代に伝わったのではと言われています。
また、鎌倉時代中期の物語を謡った「鉢木」には、盆栽は庶民にも親しまれる趣味であったと伺える内容もあります。
室町時代では足利義正、江戸時代では徳川家光が熱心な盆栽愛好家だったそうです。家光が育てた松の盆栽は今でも大切に保管されています。
盆栽が再び人気になったきっかけとは
近年で盆栽の人気が加速したのは1990年代の初め頃です。西洋庭園を中心としたガーデニングブームの影響を受け、やがて盆栽のような鉢物にも注目が集まりました。
日本では馴染みのある水草などの植物も、海外の人から見れば新鮮で魅力的に見えたようです。園芸やガーデニングとは別に、和の情感が強く残った盆栽に惹かれる人が増えました。
盆栽に感じる魅力は人それぞれ多くある
ここでは盆栽の楽しみ方や評価基準を伝えましたが、それを過度に気にする必要はありません。
植物を丁寧に扱い、自分が思うように盆栽を見て、育てて、愛情を持つことができれば良いのです。
盆栽に興味があれば、まずは雑貨屋さんで売られている盆栽を眺めることから始めてもいいでしょう。
その後に興味が深まったら、盆栽を購入して自分で育てていったりなど、徐々にステップアップしていくと、人生の楽しみが増えていくかもしれません。
参考サイト様
「盆栽とは」盆栽妙
「盆栽まとめ。観葉植物とは違う盆栽の魅力や育て方」IZILOOK
●ゴンザレス美について
ブロガーやってます。
本業は美容医療業界(WEBマーケティング)
美容皮膚科クリニックを運営している会社のサラリーマンです。
個人サイト【美容のビビビ】を運営しています。
美容のビビビでは「ダイエット・美容」についての情報を発信中。
ぜひ、気軽に見に来てください♪