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映画《ボクたちはみんな大人になれなかった》感想文

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燃え殻さんの小説が原作の映画《ボクたちはみんな大人になれなかった》があまりにも心に刺さってしまったので、複数記事に分けて感想文を少しずつアップします。
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続・佐藤の「普通」とかおりの「普通」

続・佐藤の「普通」とかおりの「普通」

前回のnoteで「普通」について書いた後、肝心なことの抜け落ちに気づいてしまいました。

原作は初回版を買って読んでいたはずなのに、なんで今まで見落としていたのでしょう。

佐藤がかおりの「普通」を観測したのって、偶然の対面でもなく、Twitterでもなく、Facebookのみだということに。

夜の街とSNS作品に登場する夜の街(ゴールデン街)もSNS(Facebook)も虚構の自分を楽しむ世界

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佐藤の「普通」とかおりの「普通」

佐藤の「普通」とかおりの「普通」

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』では、原作よりも「普通」というワードが強めに出ている気がします。

私は以前話題になった映画『花束みたいな恋をした』で「麦と絹は「好きな物の名称ビンゴ」が成立してただけで価値観の違う2人だった」と思っている派なので、『ボクたちはみんな大人になれなかった』における佐藤(=ボク)とかおりの「普通」に対する価値観にも注目してみました。

【仮説】「普通」への価値

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あなたにとっての「ボクたちはみんな大人に〇〇〇」はなんですか?

あなたにとっての「ボクたちはみんな大人に〇〇〇」はなんですか?

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』の最後、打ち込まれたタイトルの「なれなかった」が消されました。

原作も映画も「鑑賞者が観た後に自分の人生と絡めて話をしたくなる」人が多くなるらしいので、きっと鑑賞者100人集めたら答えが100通りあるんじゃないでしょうか。

私にとっての答えは「なったね」です。そして本来のタイトルの「なれなかった」は、大人になった主人公が過去を振り返った時に、「あの時の

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