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抽象画家・野村佳代さんに解説をお願いしたい

僕は、子どもの頃から絵を描くのが苦手で下手だ。たぶん、テレビで「画伯」といじられている人たちと同じくらいに。

まず、立体に描けない。すべてが平面で、僕の絵には奥行というものが存在しない。あと、人を描いても、動物を描いても、景色を描いても、生きている雰囲気が漂わない。

絵心がないから、絵の見方もよくわからない。でも、絵を見たときにハッとするというか、引き込まれて立ち止まってしまうことがたまにある。

抽象画家・野村佳代(Kayo Nomura)さんの絵を目にしたときは、まさしくそんな感じだった。

野村佳代さんに出会ったのは、去年の10月。確か関西に台風が迫っている日だった。ある方に紹介してもらい、個展開催中の京都のギャラリーでインタビューさせてもらった。

そこに飾られていた一枚の赤い絵。力がみなぎってくるのを感じた。

平たく言うと「めっちゃ好き!」「めっちゃ良い!」。めちゃめちゃバカっぽいが、本来、創作物に対する感想としては、こういった率直な言葉で良いような気もする。僕も小説を書いて、読んだ人から「おもしろかった!」とか「感動した!」と言ってもらえるだけで嬉しいし有り難い。料理人だって「おいしい!」と言われるのが、何よりの喜びだろう(コマーシャルやブランディングといった分野においては、もっと複雑な言葉を駆使しないと評価されないんやろうけどね)

野村佳代さんから受ける印象は「誠実」。ご自身にとって「絵」というのは特別なものだと思うが、絵を含めた「表現」全般に真摯に向き合われているのがインタビューを通して伝わってきた。こちらの質問に対し、ひとつひとつ思考を深めながら丁寧にアウトプットしてくださる姿勢に触れて、「だから絵に魂が宿るのか」と妙に納得したのを記憶している。

今回、小説を電子書籍化するにあたり、いっちょまえに「解説」なるものを掲載しようと考えた。文庫本の巻末によくあるアレである。

誰に解説の執筆をお願いするか、いや厳密には、解説を付けることを考えたのと同時に、それを書いてほしい人の顔が頭に浮かんだ。

「野村佳代さんに解説をお願いしたい」

小説の主人公が「絵を描くのが好きな高校生」ということもあるが、直感以外の何物でもなかった。

早速、依頼してみると、すぐにご快諾いただけた。絵ではなく文章のオーダーということで驚かれてはいたけれど、そりゃ無理もない(野村さん、すいません)

小説の原稿をお送りして、約1週間。届いた解説を読んで、僕は自分の直感に間違いがなかったことを確信した(何様やねん)

作品に込めたメッセージを咀嚼していただきつつ、登場人物を通して読者に寄り添うような文章は、温かくて希望に満ちている。今は、この解説を早く読んでもらいたい思いでいっぱいだ(小説本文も忘れずに読んでよ)

この画像は、以前、野村佳代さんに描いていただいたもの。

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Omamori Drawing」というもので、約15分の対話を通して現在の心境や作品を眺める得たい気持ちを伝えれば、野村さんがインスピレーションを働かせて絵を描いてくれる。

僕は、創作スイッチが入ったり、テンションが上向いたりするような絵をお願いして、書いてもらった。野村佳代さんが解説を寄稿した作品の作者として恥じないよう、絵に見守られながら、これからもがんばっていきたいと思う。

野村佳代さん、このたびは、素敵な解説をありがとうございました!

小説は来月発売予定。お楽しみに~。

(追記)小説「おばけのリベンジ」Kindleにて発売中です!



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