【カムイチカプ交響曲】今日行ったコンサートの感想:令和04年(2022年)09月25日(日)【ケンタウルス・ユニット】

 コントラバスが左にいた。そしてチェロも左にいた。第2ヴァイオリンは対向配置でした。ヴィオラも内側にいて大満足。

チカプ』op. 14a
 オリジナル版はフルート15本だそうです。今日はフルートだけ4人いる、モーツァルトくらいの小さめのオーケストラ。「チカプ」とは、アイヌ語で「鳥」という意味。デビュー作と言える『朱鷺によせる哀歌』がop. 12なので、近い時期のかなり初期の曲。フルートがぽつぽつと音を出し始め、それが鳥のさえずりになり、木管全体に波及していく。絃楽器は鳥の羽ばたきのようにふわっとした緩急の和音を鳴らす。

チェロ協奏曲「ケンタウルス・ユニット」』op. 91
 チェロの重音が恰好良い! ちょっとオーケストラが大き過ぎて独奏が聞こえない箇所もあった。不確定性みたいなところもあるけど、あれは楽譜にも不確定性で書いてあるのだろうか。吉松さんは本当にワルツが好き。しかも5拍子とか混ざる歪んだワルツ。それと、3-3-2のロックのリズムかと思わせておいて、実は3-3-2-2の5拍子だったりするアレグロもお馴染み。途中で古風なカデンツが挟まるのが、ショスタコーヴィチの『チェロ協奏曲 第2番 ト短調』を思い起こさせる。第2楽章は独奏チェロの怒濤のピッツィカートで始まる。中間部でオーケストラの中のチェロの主席奏者と第2奏者が独奏チェロを追い駆けて、そんな楽器法ありなんだ! と思った。フィナーレは堂々とした幕開け。キラキラと爽やかな楽器法が駆け抜ける。やっぱりタンバリンがいると音響が明るくなるね。独奏チェロも怒濤。弾ききって凄い。

カムイチカプ交響曲(交響曲 第1番)』op. 40
 1990年に作曲された、吉松隆の最初の交響曲。「カムイチカプ」とはアイヌ語で「神の鳥」という意味。ホルンが6人、トランペットが5人いた。デカいね。トムトムが6台用意されていました。ドラムスはキックドラムと大太鼓と銅鑼。ハイハットは別の人が担当していました。第1楽章はコントラバスの地の上に音形がどんどん堆積して行き、最後に崩壊するという展開。第3楽章は火の楽章。暴力的なアレグロで恰好良い。ホルンが暴れまくっていた。打楽器ソリの部分がありました。フィナーレは美しい大団円。世紀末叙情主義の傑作。