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小さな無人販売所の話−5 <サイレントカスタマーとSNS発信、そして結局は美味しい野菜>

サイレントカスタマーといわれるお客さんがいる。
サイレントリスナーとかサイレントマジョリティとか、最近よく聞きますよね。「声に出さずに黙っている人」ってことですね。
無人販売所は、基本的に無人。
でも私は1日の半分くらいは、無人販売所の横にある作業小屋で袋詰めや出荷準備をしているので、お客さんと顔を合わせることも話すことも多くある。
「こんにちは〜」に対して「こんにちは〜」で終わる方もたくさんいて、
「こんにちは〜」から会話が始まる人もいる。
顔と名前が一致するいわゆる常連のお客さんが20〜30人。
顔は知ってる、でも名前は知らないお客さんも20人近くいそう。
その他はきっと初めて来た方か、私と顔を合わせたことが無い方だと思われる。
この年末年始、初めて来た方かと思ったらリピーターだったお客さんに何人も会った。サイレントカスタマーはたくさんいるんだな、と実感。

SNSの持つ力

私は毎日SNSに野菜販売情報や畑の様子、日々の農作業などを発信している。コメントがなくても、見ていてくれる人がいると実感することも多い。
「毎日投稿を見て、今日は那須高原は晴れてるのねーとかわかるの楽しいです」って言われたり、「遠くに住んでるけど、今はこんな野菜が採れてるんだー、って見てます」って方も。

無人販売所にはお客さんから寄付してもらった「リサイクル紙袋」が置いてある。使う方もけっこう多いので、たまに不足してしまう。
そんな時、インスタのストーリーやX(旧Twitter)に「リサイクル紙袋が少なくなってきました〜ご寄付お願いします!」なんて投稿をすると、続々と紙袋が集まってくる。私がいない時もあるので、無人販売所にそっと紙袋を置いていってくださる方もいる。
初めてお会いする方に「紙袋が足りないって見たので・・・」と紙袋を頂いて「いつもインスタ見てるんです」なんて言ってもらうと、とても嬉しい。
友人から新聞紙をたくさんもらって「わーい、新聞紙助かりまーす!」と投稿すると、「うちの新聞紙もよかったらどうぞ」と、持ってきてくださる方がいる。
コメントくれたり、直接話してくれるお客さんの後ろには、たくさんのサイレントカスタマーさんがいて、SNS発信はそんなサイレントカスタマーさん達とこたろうファームをつなぐツールである、ということをより意識していこうと思う。

全ての基本は美味しい野菜

「農家のストーリーや個性で野菜を売る」という販売戦略?が近年多く見られ、スーパーの地場産野菜売場や道の駅の産直市場には「私が作りました!」なんて顔写真入りで野菜が並ぶ昨今。
顔写真、要らなくない?
って、いつも思う。
野菜を顔で選ぶ?顔でリピーターをつかめる?
いや、ありえないでしょ。
もしかしたら、「こないだ買ったあの野菜、美味しかったわ〜確かあの顔の生産者さんの野菜だわ!」ってことも無いとは言い切れませんが。

無人販売所やSNSで仲良くなった皆さまは、こたろうファームを応援してくれるサポーターさんでもある。春夏秋冬、野菜を買いに来てくれたり、友達を連れてきてくれたり、野菜ギフトを友達に送ってくれたり。
ほんとうに感謝しかない。
サポートしてくれるのは、私と仲良くなったから、ではなく、野菜が美味しくなければ続かない。
野菜が美味しいのは、もちろん使用人の品種選びや栽培の努力もあるし、那須高原の土地や気温、新鮮さと美味しいタイミングで提供しているから、でもある。
サイレントカスタマーでリピーターな方々は、きっと私やこたろうファームのストーリーではなく、純粋にこたろうファームの野菜が美味しいと思ってくれているのかな、と思う。
だとしたら、とても嬉しい。

今年は那須エリアで2つの道の駅の産直市場がリニューアルオープンする。
こたろうファームも今年は産直農家として道の駅に出荷する予定もある。
そうなっても、もちろん無人販売所は私の一番大切な野菜の販売場所である。
無人販売所にはこたろう野菜を買いたい方々が来てくれるから。
サイレントでもサイレントじゃなくても「こたろうファームの野菜が食べたい!」って方々が来てくれるから、毎日楽しく無人販売所の準備ができる。
2024年も小さな無人販売所は私の大切な、誰にとっても楽しくて美味しい場所にしたい。







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