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図書館に耳の遠いおじいさん

予約していた本を借りに図書館のカウンターへ向かった。
私の前では、背中の曲がったおじいさんがカウンターの女性と大きな声で話している。

おじいさんはしきりに、「耳が遠くて申し訳ないね」と女性に謝っている。
女性からの声は聞き取れない。
「ここはねえ、市内で2番目に蔵書が多いんだよ。昔はよく来てたんだけどね」と女性に話しかけている。
女性は「はあ」というような言葉を返すだけ。

わかるよ。ここ図書館だし、大声で話しちゃいけないというルールがあるのは。でも、別にいいではないか。おじいさんとカウンターでおしゃべりするくらい。ここがニュージーランドかスペインかニューヨークだったら違うよなあ、なんて考えていたら私の番がきた。

「お待たせして大変申し訳ありません」とカウンター女性。

大丈夫、私は5分も待っていないのだし。

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