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無色とは言わせない

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詩集。誰でも観られる。しかし更新頻度低め。
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2021年1月の記事一覧

花冠

引かれたら押すしかないと彼は言う
目眩く一瞬に巡ってきた正に千載一遇
薔薇の花束は腐ってからが好きなのに
あの人のことは今日のうちに棄てておきなさい
共鳴で壊せるのは居間の小窓くらいだから
本当に幸福が欲しいのなら鍵を探すべきだって
本当に?

眠れないのは片頭痛のせいじゃない
ラム酒を少し混ぜたココアに酔う程度の夜
横暴な態度では白馬だけが逃げて平凡な王子
知った気になどなれる筈もなく何も知りま

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plane

少年少女の躍るランドセルが遠目に苛立つ
夕暮れのバス停に定刻通り現れた薄紅のワゴン
信号機の黄色だけがレーザーの様に目を焼く
「待たせてごめんね、さあいこうか。」
懐かしい匂いとは裏腹に知らぬ人のふりをした
涙目ではあったが笑うことには成功

黒っぽい烏が実は茶の鳩だったことに気がつく
空はすっかり煤けたようなparadox
振り返るにはとっくに手遅れだと判る
壊れるくらいなら失くしてしまえと思っ

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