見出し画像

あの行列を見るまでに


カレー屋をはじめてからの2年ほどは、たった週の4日のうちの、貴重な土日を出店に充てたくない、せっかくお店に来てくれる人たちがいるのに、などと思いながら、お店に篭りっきりでした。

もともとは出店販売から始まったぼくたちですが、2年も空くと、意外と忘れているものですね。久しぶりの出店では、いつも必ず「あれがないこれがない」と現地でハプニングが起こります。

昨日も、カレーには絶対必要な「鍋」を忘れるという意味わからんハプニングがありました。そんなこんながありながらも、行列が絶えることなく気付いたら鍋の中身がスッカラカンになっていました。

今日はイベントの裏側的なテーマをいただいていたので、その行列をみるまでに、どんな準備をしたかなぁと振り返ってみます。それではどうぞ。

この記事は夫婦エッセイマガジン「カレーと、ごまどうふと、文章と。」のひとつです。月、水、土に、1000字以上の文章を書きます。月額290円。初月無料。ごまどうふ1こ(300円)と同じくらいの値段で、月10本ほどのエッセイが読めます。

まず、ぼくたちの今年度の出店販売は、5月ファーマーズ&キッチン、6月無印、3週間前オクトーバーフェスト、です。お店をつくってからの、出店経験値って、全然なくて、やればやるほど慣れてきています。それで今回はオクトーバーフェストを終えてわりとすぐだったので、勢いあるままに準備は比較的スムーズでした。

当日なにが必要か。
設備・消耗品・販売にまつわるもの・商品・調理にまつわるもの、などなど準備しようと思うとキリがないないくらいたくさんのものが必要になります。

素敵な販促ポップをつくる、とか、目立ちまくれる看板を作る、とか、予算をかけようと思うとどこまでもかけられます。

まぁしかしぼくたち石本商店の強みはたぶんそこじゃなくて、Instagramでの事前の告知を見てわざわざ出店ブースまで来てもらうことが多いです。たまたま目の前を通りががって美味しそうだったから、的な購買理由は求めてません。それも本当はとっても大切だけど、年に3回4回程度の出店のためにお金をかけるには、ちょいと贅沢な気がしています。住宅街にポツンと佇む小さなお店が、出店のときだけビッカビカに目立ちまくるブースを出していたら、なんかイメージと違ってイヤじゃないですか。ぼくたちは住宅街にポツンと佇む小さなお店なんだから、そんな表面的なものよりも、情とか温かみとかクラフト感みたいな方向性で問題ないと思ってます。

だからその辺りの販促物に関してはこずえさんに全てお任せしていて、基本的にぼくはノータッチです。こずえさんが自ら手書きでメニューを書いて、自らプリントアウトしてラミネートして、そういった手間こそが、Instagramから感じられる熱量と比例します。ぼくたちにとっては、こずえさんの発信こそが全てなので、こずえさんには是非とも手を動かしていただいて、「こんなに頑張った!」という発信の源泉ポイントを作っています。だからあえて予算をかけてデザイナーさんにお願いして良いモノを作るよりも、こずえさんがタダ働きをする方が何倍もの効果が出ます。

雨対策の緑レジャーシートによって、完全にホッタテゴヤと化した石本商店ブースの言い訳も、「自ら手を動かすことの方が大切」というところでまぁ良しとしましょう。

さてさて、そんな石本商店の課題として、需要に伴った製造力が必要でした。石本商店に「完売」のイメージを持つ人も少なくはないと思います。それくらいに人気、というのは調子に乗りすぎで、シンプルに製造力が弱いことが原因です。

ここから先は

1,729字 / 1画像
ごまどうふ1個(350円)とよりお安い価格で、月に7本以上の記事が読めます!

新潟でカレーとごまどうふの店を営む夫婦が、日々の気づきや、表じゃ書けない裏話などの「赤裸々エッセイ」を綴ります。

いつもありがとうございます!! 宇宙一のごまどうふ屋になります!!