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Facebook Libraがひらくかもしれないセキュリティトークンの世界

Facebookの仮想通貨プロジェクト「Libra」。プロジェクトの発表以来、連日さまざまな報道がなされています。

(画像出所:Facebook)

賛もあれば非もあり、いずれにせよ非常に大きな注目を集めていることは間違いありません。やはり、Facebookという巨大なバーチャル世界が与える影響は大きいということですね(ユーザー数 約24億人)。

Libra自体のビジネスポテンシャルや技術的な評価は他の専門家の方に任せるとして、私が注目しているのは、プロジェクトに付随して発行されるLibra Investment Tokenです。

Libra Investment Tokenは、Libraプロジェクトの運営団体 Libra Associationに参加する企業・団体に付与されるもので、議決権等を表現するガバナンストークンです。また、プロジェクトから利益の分配を受ける性質のものであることから、法規制上はセキュリティトークンに当たるものと考えられます。

セキュリティトークン(もしくは証券トークン)とは、ブロックチェーンネットワーク上で発行されるデジタルトークンのうち、証券性を有するもの。セキュリティトークンのオファリングは STO(Security Token Offering)(ICO(Initial Coin Offering)に対して)と呼ばれる。ブロックチェーンの特性を活かし、不動産受益権やファンド持分をボーダーレスかつセキュアに移転可能とする。国内では金融商品取引法改正法案において「電子記録移転権利」と定義される。

Libra Associationに加盟する為には、最低1000万ドルを拠出し、Libra Investment Tokenを購入することになります(1口1000万ドルなので、複数口(より多くの議決権)が欲しければ、その倍数額を購入する)。

既に28社の、しかもグローバルでプレゼンスのある企業が加盟を予定しており、VISAやMaster Cardのような決済業界の巨人が名を連ねていることには大きな意味があります。今後、加盟企業を100社まで増やしていくことが計画されている模様です。

(画像出所:Facebook)

セキュリティトークンは、まだ法規制の枠組みが各国単位でも整備途上であり、またクロスボーダーでの点々流通を実現する為の、多国間での法規制上の接続性もまだ乏しい状況であり、本来期待されたメリットがもたらされるのにはもう少し時間がかかります。これらの社会的な環境整備においては、マーケットの興味関心、ニーズ、気運の盛り上がりが、重要なドライブ要因になります。

今回のLibraによって、セキュリティトークンという概念が、一部のブロックチェーン愛好家(俗っぽく言えば「ブロックチェーン界隈」)だけでなく、一般世界においても注目されるきっかけになることが期待されます。

特に、1口1000万ドルのセキュリティトークンが、28社、さらには100社に購入されるとなれば、表面的には、1000万ドル x 100社 = 10億ドルのマーケットが爆誕することを意味します。

勿論、ガバナンストークンである以上、加盟企業がLibra Investment Tokenを簡単に売買するというケースは想像し難いのですが、セキュリティトークンの世界がビジネスの世界にぐっと近づく印象を抱かせます。

引き続き、Libraの動向から目が離せません。