語彙(ごい)を増やすと世界が広がる

古沢良太さん脚本の作品が好きです。
理由は、一言で「セリフの力」に尽きます。

代表作はたくさんありすぎて選ぶのに困りますが、しいていうなら映画では「ALWAYS 三丁目の夕日」でしょうか。

テレビドラマでいえば、「コンフィデンスマンJP(シリーズ)」と言いたいところですが、僅差で「リーガルハイ」をトップに挙げたいと思います。

リーガルハイ(2012年放映)は、まさに「セリフの力」で超人気ドラマになったと言っても過言ではありません。

コミカド演じる堺雅人さんのひたすら続く早口、罵倒のセリフは観る人の心を引きつけ、幾度となく度となくスカッとさせられました。

「何が南モンブランだ、絹美村は本物のモンブランよりも遥かに美しいとどうして思わないんですか! 誰にも責任を取らせず、見たくないものを見ず、みんな仲良しで暮らしていけば楽でしょう。しかしもし、誇りある生き方を取り戻したいのなら見たくない現実を見なければならない、深い傷を負う覚悟で前に進まなければならない、闘うということはそういうことだ、愚痴なら墓場で言えばいい! 金がすべてではない? 金なんですよ、あなた方が相手に一矢報い、意気地を見せつける方法は、奪われたものと踏みにじられた尊厳に相応しい対価を勝ち取ることだけなんだ、それ以外にないんだ!
(中略)敗戦のドン底からこの国の再繁栄期を築き上げたあなた方ならその魂をきっとどこかに残している!!! ・・・・・・はずだと期待したわたしが愚かでした。いいですか、二度と老後の暇つぶしにわたしを巻き込まないでいただきたい。心優しいダニ同士、お互い傷を舐め合いながら穏やかに健やかにどうぞくたばっていってください。それではみなさん、さようなら!」

こんな感じで、延々と続くセリフ。
難易度の高いセリフを鬼気迫る熱量で演じていた堺さん、さすがプロです。

罵倒する場面においても、ただ「バカ」とか「アホ」と言った単調な言葉を連発するのではなく、ユーモアがあり知性を感じさせるんですよね。

セリフの中に散りばめられた「語彙」の豊かさをとても楽しめるのが古沢さんの脚本であり、作品の面白さにつながっていると言えます。

語彙というのは、表現力に直結しています。

日常に引きつけてみると、意識して語彙を増やしていかないと、ぼくらはずっーと同じような単語だけを使いながら生活しています(できてしまいます)。

ただその行く末に待っているのは、ひと言で言えばマンネリです。

しかし、新たな語彙を増やしていくことで見える世界は広がるでしょう。

多様な表現ができるだけではなく、他者の気持ちを汲み取る力量も上がります。仕事はもちろん、暮らしにも彩りが生まれるでしょう。

ぼくは語彙を増やすささやかな努力(語彙トレ)を続けています。
一番手軽で実用につながりやすいのは、やはり読書です。

毎日、活字に触れること。

SNSもいいと思いますが、本はプロの手によって選ばれた文章、語彙が多い分、良質な言葉に触れやすい。

やはり読書は今でも欠かせません。



実はいま、長年本棚の奥に眠っていた一冊の本のページをようやくめくりはじめています。

なぜかは分かりません。
ある国に初めて関心を持ち、少しでも理解しようと思ったのかもしれません。

世界最高峰の文学作品と呼ばれています。

それは・・・

カラマーゾフの兄弟  

ドストエフスキー

この作品、読まれたことのある方はお分かりかと思います。

登場人物が異常なほど「饒舌(じょうぜつ)」なのです。

セリフが半端なく長い!
語彙の量で圧倒されます。
なんなら半ページ分ずっとセリフですから。

千鳥のノブさんが読んだら確実にツッコんでいるでしょう。
「クセがすごいんじゃ!」と。

短文コミュニケーションに慣れてしまっているので、最初のうちは理解が追いつかず、何度も戻って読まなければなりません。

ロシア人ってみんなこんなにしゃべるのか!?と思ってしまいます。

そこにあるのは、じぶんが使うことのない語彙だらけ。
じぶんの狭い言葉力をまざまざと実感しながら読んでいます。

しかし、この過剰すぎる言葉の応酬にだんだん慣れていくと、どんどん引き込まれていく面白さがこの作品にはあります。

今のぼくにはややハードルが高い作品なのですが、語彙トレーニングには最適です。


(想像でしかありませんが)

脚本家古沢さんの原点。
それはもしかしたらドストエフスキーにあるのでは、と勝手に思いを馳せながら毎日少しづつページをめくっているところです。

読み終えたら、また記事にしたいと思います。

それでは、また。


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