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テレワークに信用や信頼は邪魔。

うちの会社は、数年前から、2名の正社員がリモートワークしていました。

初めて経営者としてリモートワークに向き合ったのは、健康上の理由で電車に乗れなくなった社員への対応でした。

リモートワーク導入にあたり不安だったのは、一人の例外を認めたら、他から同様のニーズがあった際、断れないということでした。

実際にリモートワークを導入し、オフィスワークのスタッフにとっては、ほんのちょっとの確認なども、チャットツールなどで行わねばならず、かつ相手のタイミングによってはなかなかレスがないなど、ストレスになったことは事実です。

こうした状況が続くなか、二人目のリモートワーク希望者が現れました。今度のケースは、東京を離れ実家に帰るというパターンです。これまでなら間違いなく、退社という選択になるケース。しかし、実家での勤務という希望に同意しました。

こうした状況で迎えた今回のコロナ騒動。最初は時差通勤を導入しました。しかし、緊急事態宣言が出されるのではという雰囲気が漂い始めた3月末。取引先もチラホラとリモートワークへと移行しており、わが社も導入しなければというプレッシャーが高まりました。

いざ導入となった際、恐る恐るだったため、まずは半数出社、半数自宅というローテーションで始めました。しかし初めて2、3日後に、あるスタッフからの「来週の出社日程は、会社から言い渡されるんでしょうか」という声を聞き、崩れるようなショックを受けました。

言い渡される。そうか、自分は出社に対してそんなに怖いと感じていないけど、そんな風にこの時期出社することに対して、違和感だったり、恐怖感だったりを感じるスタッフもいるんだ……と。想像力の欠如でした。

それ以来、原則1名が交代で出社し、全員リモートワークに移行しました。

正直、導入に当たっては、どうやってスタッフの勤怠管理をしようか。朝は一斉に同じ時間に朝礼をすべきではないか。毎日日報を細かく書いてもらい、緊張感を与えたほうがいいのではないかなどなど。なぜって、自分自身が自宅で仕事をすると集中力が続かず、さぼりがちだから、みんなだってそうなんじゃないかと思っていたからです。

でも考えれば考えるほど面倒になりました。社員のことをもっと信用しなければ。お互い信頼関係があればできるはずだ。最初はそんなきれいな言葉で自分の背中を押そうとしました。

しかし、それは無理だろうと気付いたのです。信用とか信頼なんかでリモートを導入なんてできない。信用とか信頼とは、リモートワークが今後うまくいった際に初めて生まれるもの。いやずっと生まれないかもしれない。そもそも会社に対しての信用や信頼だって、みんなが持っているわけじゃない。それは別に悪いことではなく、そういうスタイルなのだ。

じゃあどうするか。自分に緊急事態だといいきかせたんです。それしかありませんでした。こんな時なんだからしのごの言わずにやるしかない。こう考えたらずいぶん楽になりました。守ってもらうことは、これまで通りの仕事をこなし、売り上げを維持していくこと。そして、賞与含め業績と今まで以上にシビアに連動させて、一人ひとりが自分の働き方に責任を持つ。ただそれだけ。その約束を守れば売り上げはついてくるはず。

1カ月以上がたち、今後売り上げがどうなるかはわからないけど、今の自分の気持ちはどうかといえば、オフィスを解約し、半分の広さのところに引っ越そうと真剣に考えています。


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