【読書記録】デザイン思考や人間中心デザインは購買時のUXを見ていない
おはようございます。
Xデザイン学校主催のとある交流会に参加した際、「使いやすさ」を学問的に追求している例はないのか?と質問したところ、山﨑和彦先生から「認知心理学を知っているか?『誰のためのデザイン』を読んでみなさい。」と言われ、読んでみました。
自分が求めていた、論理的に「良いデザイン」について解説された盛りだくさんの内容になっていたので、復習も兼ねてnoteに記録を残すことにしました。
第5回は、「デザイン思考や人間中心設計は購買時のUXを見ていない」です。
1.デザイン思考/HCDのフォーカス
デザイン思考とHCDについて、本書では上記のように説明されていました。
どちらも、ユーザーがサービスや製品を利用する活動にフォーカスを当てており、その活動をより良くしていくことを目的としています。
これを実践することで、ユーザーのUXが向上する方向に向かうのは間違いないと思いますし、デザイナーやエンジニアにとって目指すべき方向はこれであると思うのです。
このプロセスでは、ダブルダイヤモンドモデルと言われている、観察と評価のフェーズに分けて2度の発散と収束を繰り返すことによって、ユーザーにとっての正しい問題を見つけ出し、適切な解決策を創出します。これを企業で実践する際の問題点としては、とにかく時間がかかることです。
私が働いている会社でもそうなのですが、製品の開発には厳しい納期があって、予算もある。その中で一定の成果物を出すためには、何度も発散させる検討プロセスや、反復するプロセスというのは好まれません。ましてや、人間中心設計やデザイン思考を理解してくれていない人が管理者の場合には、言語道断といったところです。
また、デザイン思考や人間中心設計によって使いやすい、人々のニーズを満たした製品を作り出したからといって、想定する全てのユーザーがその製品を購入してくれるかといったら、そういうわけでもないというところが、このプロセスを企業で実践するための説得力に欠けるところかとも思います。
多くのデザイン思考/人間中心設計のプロセスでは、ユーザーがその製品を使用するシナリオのみがフォーカスされており、すでにユーザーが製品を購入している前提があるのです。
企業の中に予算や納期があるのと同じように、ユーザーにも予算やその他の制限があります。ここにもっと着目すべきなのではないかと考えています。
2.デザインリサーチとマーケットリサーチ
本書でも上記のように、デザインとマーケティングの異なる狙いについて説明されていました。
企業の中では、この2つの要素が対立することが多い、そしてより上流工程であるマーケティング部門での狙いが優先されることが多いと思います。
私としては、デザインとマーケティングは対立するものではなくて、開発する製品の分野や領域によって、適切な割合でトレードオフが行われた製品こそ、ユーザーが求める最適な製品だと考えています。
私が考えた、企業の製品開発はこうすべきだという理解は以下です。
ユーザーが特定の目的を達成するための手段を補助する製品の、購入→利用→廃棄の繰り返しのプロセス全体を分析することによって、ユーザーに繰り返し購入される製品を作り出すべきである。繰り返し購入されることの条件としては、購入時に目に入る価格やスペックもありますし、一度利用した中でのUXも関係してくると思うのです。
この前提として、ユーザーは特定の目的を達成しなければならない背景があり、それは一定期間繰り返される。その中で、その目的達成を補助する製品は必要とされ、製品の寿命が目的達成を繰り返し行う期間よりも短い場合は、何度も製品購入と廃棄を繰り返す。というのがあります。
一度使ってとても良いUXを得られた製品は繰り返し購入すると思いますし、どんなに良いUXを得られる製品だったとしても購入されなければ何も意味がないのです。
マーケティングはユーザーが購入してくれる製品を作りたがります。デザインはユーザーが良いUXを得られる製品を作りたがります。
目指すべきは、ユーザーが繰り返し購入して、使い続けてくれる製品であると思うのです。
大きく製品購入時と製品利用時に分けられたシナリオ、UX、意思決定の基準を両方分析することによって、ユーザーが本当に求める製品を作り出せるのだと思います。
おそらくデザインの効果を軽視している企業のマーケティングは初回購入者とリピーターを分けて分析していないことが多いでしょうし、デザインは購入時の意思決定要素を考慮せずにデザイン思考を押し出していたりします。
企業はもっとユーザーの活動を長期的に見て製品開発を行うべきです。
上記のような自分なりの理解ができて、ちょっとすっきりしました。
3.重要ポイントリスト
上記のような形で、本書について私が重要だと感じたポイントごとに記録を残しています。
毎回のnoteの最後に、これまでの重要ポイントリストを記載して、備忘録のような形にしています。
それでは。
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