5*森の奥へ
バルアトルケものがたりⅠ*5
よく晴れた朝、セオナルドのおとうさんとおかあさんは
セオナルドを連れて、家を出ました。
森の奥までつづく道には花がたくさん咲いています。
ミツバチがぶんぶんと飛びかって、とても忙しそうです。
楽しげなミツバチたちとはうってかわって、
おとうさんとおかあさんは不安でいっぱいでした。
どうか、セオナルドがよくなりますように。
祈るような気持ちで歩いていきました。
***
森の奥には、ひときわ大きな木が生えていました。
幹はエルフィが10人、手をつないでやっと囲めるほどの太さで、
枝がみっしりと曲がりくねって、空へとのびています。
お父さんは木にむかって大きな声で言いました。
「エルフィ一族のものです!ユニコーンに会いに来ました!
どうか力を貸してください!」
その声でセオナルドは目をさまし、周りを見ています。
泣きもしないで、不思議そうに、周りを見ているセオナルドを、
おかあさんはぎゅーっと抱きしめながら
ユニコーンを待っていたのです。
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