19*お祝いのごちそう
バルアトルケものがたりⅠ*19
セオナルドのおかあさんは張り切っていました。
エルフィにとって、6歳の誕生日は特別なのです。
エルフィは6歳になると、得意なことについて、勉強を始めます。
植物とのコミュニケーションを学んだり、絵を描いたり、モノづくりをすることを学ぶエルフィもいます。冒険にでかけるエルフィもいます。
セオナルドのおとうさんは、特別な方法で家を作ることをまなびました。
ですから、セオナルドの家には何人でも入ることができるのです。
セオナルドのおかあさんは、とても料理が上手なエルフィです。
もともと食べる事が好きで、6歳からお料理についてまなんだのです。
たいていのエルフィは料理をしなくても、イメージすれば、美味しいものを目の前に出すことができます。
セオナルドのおかあさんは、実際に「お料理をする方法をまなぶ」ことをえらんだのです。
イメージされて、でてきた料理と、手で作られた料理の違い、はなんでしょう?
そのひみつは、セオナルドのおかあさんの料理を食べればわかります。
お母さんは、頑張りました。大切な、セオナルドのためですから。
野菜を刻んだり、オーブンの火加減をみたりしながら、セオナルドがうまれたばかりの、不安そうな顔を思い出したり、ユニコーンに会った後のセオナルドの変化を思い出し、涙ぐんだりしていました。
セオナルドがもう6歳だなんて。なんて月日の経つのははやいんでしょう。
前菜は野生のクレソンとたんぽぽの若葉のサラダ。上には野生のソレルを散らしました。クレソンのぴりっとした辛みと、たんぽぽの苦味、ソレルの酸味が絶妙なバランスです。
うりの実を薄くスライスして、小さなトマトと一緒に焼きました。
干したきくらげでだしをとったスープで、オーツ麦のリゾットを炊き、
松の実をローストして上にちりばめました。
子供用には、エルダーフラワーのシロップで作った飲み物、
大人用にはエルダーフラワーワイン。
お酒が飲めないエルフィのために、タンポポの花のお茶も用意しました。
軽くつまめるように、エルダーフラワーにどんぐり粉のころもをつけてあげたスナックと、ラベンダーを散らしたどんぐり粉クッキーも焼きました。
誕生日のデザートには、どんぐりの粉で作ったふわふわのスポンジです。野生のいちごで作ったジャムを間にたっぷりとはさみました。
飾りには、真っ白なサンザシの花と紫色のすみれを飾りました。
「6さい おめでとう セオナルド&○○○」
○○○ のところにはシロのほんとうの名前が入る予定です。
お祝いの準備は万端です。
読んでいただき、ありがとうございます。 これからも楽しんでいただけるようにお届けしていきます!