ゴルフ学芸員

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猫3匹と暮らすゴルフ学芸員・井手口香です。日本のゴルフ史の研究及びゴルフ関連資料の調査・研究をしています。英米のようにゴルフ文化を大切にしたいと考える日本人が増えることを願いつつ活動中。

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  • 調査・研究レポート

  • 日本のゴルフ史をひもとく

    日本のゴルフ史に関連する記事を集めています。

  • 学芸員コラム

    調査・研究中に見つけたゴルフ資料ネタ、日常生活でひょっこり現れたゴルフ資料ネタを気軽に紹介していきたいと思います。不定期更新。

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    かつてゴルフ場だった所を探して訪ね歩く趣味と調査を兼ねた記録。

  • 文化財に魅せられて

    ゴルフ界の文化財に関する記事を集めています。

最近の記事

#7 【ゴルフの歴史】スケネクタディ・パターにみる用具とゴルフ規則の関係について

はじめに(箱根カントリー倶楽部にて)  そのパターは箱根カントリー倶楽部(1954年開場、以下箱根CC)に展示されていた。これまで写真資料としては見たことはあったが、実物を見たのは初めてである。ゴルフの歴史において、このパターの存在は避けて通ることができない。そのクラブが、いま、目の前にある。名前を、「スケネクタディ・パター」¹という。  ゴルフ同様、道具にも歴史がある。特にクラブには、開発から製作、誰がどの大会でどのように使用(プレー)して勝利をおさめたかなど、様々

    • #6 【ゴルフの歴史】日本人が目土を始めたのは、フェアウェイが高麗芝だったから。

      はじめに  高畑誠一(1887-1978)は、ヘッドカバーや手袋(厚手の手袋を薄く改良)を考案した人物として知られている¹。しかし、「目土」や「目土袋」も高畑のアイデアで生まれていることはあまり知られていない。本稿は、高畑が目土を始めた廣野ゴルフ倶楽部(以下、廣野GC)で、なぜ目土をする必要があったのか、またそれは現在のゴルファーにとってどのように意義のある行為だったのかを考えてみたい。  まず、高畑の著書『ゴルフ ルール百科全書』(1961年)から「目土袋携帯の起源」

      • #5 【コラム】ムーンクラブ~人類は月に行ってもシャンクする~

         みなさんは人類が地球だけでなく、月でもゴルフをしたことをご存知でしょうか。USGAゴルフミュージアム¹には、月で使用されたゴルフクラブが展示されています。  このクラブは、ジャック・ハーデン(ヒューストンのリバー・オークスCC所属プロ)によって製作されました。ヘッドはウィルソン・スタッフのダイナパワー6番アイアンを使用、シャフトは月の岩石サンプルをすくい上げるために設計された折りたたみ式の道具を転用して造られました。  アメリカのアポロ計画では1961年から1972年に

        • #4 【コラム】NHK大河ドラマ『光る君へ』の打毬シーンを見て。打毬とゴルフの関り

           みなさん、今年のNHK大河ドラマ『光る君へ』¹は観ていらっしゃいますか?先週、2月18日に放送された「第7回おかしきことこそ」では、打毬(だきゅう)²をプレーするシーンがありました。打毬といえば、第二次世界大戦中にゴルフを救ったありがたい遊戯!私は少々前のめり気味で打毬のシーンを観てしまいましたが、一番驚いたのはプレーヤーが馬に乗っていたことです。  「ゴルフは日本古来の遊戯を復活させたものである」³・・・JGAの70年史には当時の理事長・石井光次郎が、政府を相手にこう主

        #7 【ゴルフの歴史】スケネクタディ・パターにみる用具とゴルフ規則の関係について

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          #3 【ゴルフの歴史】ピンの語源:ウィッカーバスケットってなに?|ゴルフ学芸員

          1.はじめに  2023年12月20日、川奈・大島コース95周年の記念イベントでウィッカー・バスケットが復活した。川奈では、大島、富士の両コースで1937年(昭和12)頃までウィッカーが使用されていたので、実に87年振りの復活である。現在、多くのゴルフコースではホールマーカーとして「旗」を使用しており、ウィッカー・バスケット(以下、ウィッカー)は世界の極わずかなコースにおいてのみ見ることができる。従ってほとんどのゴルファーは、実物を見たこともなければ体験したこともなく、ウィッ

          #3 【ゴルフの歴史】ピンの語源:ウィッカーバスケットってなに?|ゴルフ学芸員

          #2 博物館資料(文化財)保存への積極的活動|富士CC|ゴルフ学芸員

          (1)はじめに  本稿は富士カントリークラブ(静岡県御殿場市・以下、富士CC)のクラブハウスが登録有形文化財(建造物)となった経緯、及びその後の波及効果を調査したものである。2011年(平成23)、富士CCのクラブハウスは、ゴルフ場における建造物として初めて国の登録有形文化財(建造物)として登録された。設計はアントニン・レーモンド(1888~1976)、木造2階建て・山荘風のハウスで、以後数多く造られる木造クラブハウスの初期の代表作である。ゴルフ場のクラブハウスがどのよ

          #2 博物館資料(文化財)保存への積極的活動|富士CC|ゴルフ学芸員

          #1 ゴルフコース跡地巡礼|寄稿記事(チョイス)|ゴルフ学芸員

          はじめに  ある日、友人を介してゴルフダイジェスト【チョイス】の編集部の方と会うことになりました。わたしが趣味で、ゴルフ場の跡地巡りをしていることを知り、興味を持ってくださったようです。そこで、これまで巡った跡地のリストを写真やメモを付けて渡し、見て頂くことになりました。しばらくすると、原稿依頼がきました。  以下、チョイスに掲載された記事を含む内容を転載します。 ゴルフコース跡地巡り・・・・・(2023.8.19)  私は比較的若いころからお年寄りの昔話を聞くの

          #1 ゴルフコース跡地巡礼|寄稿記事(チョイス)|ゴルフ学芸員

          はじめまして|自己紹介

          井手口香(いでぐち・かおり)と申します。 わたしは「ゴルフ学芸員」です。 働きながら大学を卒業し、学芸員資格を取得しました。 その後、日本ゴルフ協会(以下、JGA)から「ミュージアム参与・ゴルフ学芸員」という肩書を頂戴し、学芸員として活動しています。 学芸員とは・・・博物館資料の収集、保管、展示及び調査・研究、その他これと関連する事業を行う「博物館法」に定められた博物館における専門的職員のことをいいます。 つまり、わたしの場合は「JGAゴルフミュージアム」に保管されてい

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