トヨタの「究極の仮眠マシン」に学ぶ、マイナスを価値に変える3つのイノベーション発想法
こんにちは。
眠りの最先端テクノロジー「スリープテック」を体感すべく、 ネットでウェアラブルウォッチを検索しながら夜ふかししている若林です。
今回は、そのスリープテックのダークホースとして、最近発表されたトヨタ自動車の新製品「たった15分で驚くほどスッキリする仮眠マシン」をベースに、
「一見無駄なものから新しい価値を創造するイノベーティブな発想法」
についてご紹介します。
このコラムを読んだ後には、きっと自分の周りにあるイノベーションのタネを探したい衝動に駆られるはずです。きっと。
わざわざ波風を立てるリスク
「かつての日本はイノベーティブだった」「日本にもジョブズや、イーロン・マスクのようなイノベーターが必要だ」など、メディアではイノベーションに関するいろいろなワードが飛び交います。
確かにイノベーティブなアイデアを出すこと自体難しいのですが、本当の難しさは、その後にもあります。むしろ私は、この後工程にこそ、イノベーションを実現するキーがあるのではないかと思っています。
たとえば、読者の皆さんも「結構いいアイデアだな」と思って社内で提案したら、理解されないどころか、全面否定されて凹んだ経験はないでしょうか?(かつての私もその一人ですが。)
そうなんです。実は革新的なアイデアほど、(当たり前ですが)すぐには理解されないのです。したがって優れたアイデアほど、ことごとく「ゴミ箱行き」になるが普通です。
さらに「アイデアを理解してもらう」という第一関門を突破しても、大きな組織でイノベーティブな商品やサービスをリリースしようと思ったら、部門を越えて様々なステークホルダーと交渉して合意を取る必要があり、膨大な労力がかかります。
復活したNHK「プロジェクトX」や、下記の「ウル・オス」の例などで、新製品開発秘話を見ていると、大体の場合は担当者が
「お前に責任が取れるのか!」
などと、いろいろな人に文句を言われたり、責められたりするのが普通です。
そもそも普通の社会人は、波風を立てるリスクなんて取らなくても、今月も、来月も給与は保証されていて、たいていは平和に過ごせます。それなのに、それらを捨ててまでリスクを取り、イノベーションを起こそうとするなら、担当者の「情熱」がデフォルトであることが疑いようがありません。
ただ、イノベーション達成のプロセスを、個人の熱量に依存する感動の熱いドラマではなく、もっと誰にでも使えるような「科学的プロセス」として定義できないものでしょうか?
そんな問いから、アイデア出し(発想法)に留まらず、実際にイノベーティブな商品やサービスを世に生み出すまでの、全工程をカバーする「全体最適」のイノベーション創出法として開発されたのが「Eyes for Value(E4V)」(イー・フォー・ブイ)です。
自然にやっている「生活の知恵」を観察する
今回は「E4V」の序盤に行う「3つの目」という考え方についてご紹介します。
詳しくは、番組をご覧いただければと思いますが、まずは質問です。
「皆さんの周りで、特定の商品やサービスを、本来の目的とは違う用途で使ったり、”魔改造”して活用したりしている人はいないですか?」
たとえば、ウチでは子どもが赤ちゃんの頃に、よくチャイルドシートに乗せてドライブしていました。この方が、なぜかベビーベッドより、圧倒的によく寝るんですよね。周りのご家族に聞いても、割と同じようなケースがありました。
これは、みんな経験則に基づいて、自動車をゆりかご代わりに使っている事例ですが、ここで自動車が「眠らせる」という「価値」を持っているんじゃないか、他に応用できないかと思って着目できるかがポイントです。
敵の正体を見破れば味方にできる
そもそも赤ちゃんに限らず、大人の私達でも、自動車や電車に乗っているときに、眠くなることがありませんか?不思議ですよね。
「眠気」はどう考えても運転の大敵です。
だからこそ、自動車会社はこぞって「いかにドライバーを眠らせないか」を研究しています。つまり自動車会社は「眠気」という”敵”をやっつけるために、眠りのメカニズムについて膨大な知見を蓄積しています。
だから、逆に眠たくさせることなどお手のものという訳です。
そして、それを価値としてビジネス化したのが”すぐに眠くなるマシン”「TOTONE」(トトネ *整う+寝るの造語)なんです。
このマシンを使うと15分ぐらいで「パワーナップ」(短時間睡眠)することができ、頭が一気にリフレッシュできます。
我々が「疲れ」と感じているもののほとんどは、肉体ではなく「脳疲労」と言われていますが、その脳疲労回復にダイレクトに効くのが「睡眠」です。
忙しいエグゼクティブなら、「体」の疲労が回復するマッサージチェアより、むしろ「脳」が一気にリフレッシュされ、仕事の効率が爆上がりするTOTONEに、より魅力を感じるかも知れません。
ゴミのなかに宝を発見する
同じパターンで、ビール会社にとって乳酸菌は、ビールの質を下げ、マズくする大敵です。だから「敵を知り」とばかり、乳酸菌を徹底的に研究した結果、KIRINはプラズマ乳酸菌の商業化に成功し、現在では儲けの柱としてめちゃくちゃ儲かっています。
これらのように、本業にとってマイナス、副作用、敵、ゴミ、ムダ、もしくは失敗を徹底的に研究していくと、新しいビジネスモデルのタネになることが結構あります。
マイナスをプラスにする発想法。ちょっと考えてみたくなりませんか?
もっと体系的に学びたい方は、こちらも本もオススメです。
また「TOTONE」の開発秘話は、下記より動画でご覧いただけます。有料動画ですが、5分だけ無料でプレビュー可能です。大手企業で新規事業を実現したい方には必見の内容です。