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第六十九景 マッチングアプリ大戦記 episode11-3

またねと言われたら、会わない訳にはいかない。彼女は家ではストゼロをよく飲むらしく、不味いと言いながらも飲むらしい。また家が駅から離れていていて、外に飲みに行くのは、職場の飲み会くらいということも言っていた。

それならいい機会だから、2回目のアポは外に飲み行くことになった。家まで、迎えに行こうとしたが、なんとか妹さんに送り迎えを頼めたようだった。

初回アポの1週間後に会うことが決まった。以前、僕が入ろうと思って、入ること出来なかった刺身ともつ煮が美味しい居酒屋だった。

それまでは、また電話で、マーベルのことと恋愛観について話をした。その話の中で、彼女は一度も人と付き合ったことが無いと言っていた。付き合うなら、結婚を考える人と付き合いたいとのことで、慎重に相手を見極めるタイプのようだった。

つまり男性経験がない。同じアラサーとしては珍しいことで、不思議だった。彼女は僕の目には美人に見えたし、ノリも良く、男受けのしないスタイルではない。

とにかく目が飛び出るほど驚いた。アラサーにもなって、低身長巨乳処女というレアキャラに出会えるとは思わなかった。冷静を保つのは難しいように思えたが、変な気を起こさないように気をつけた。

2回目のアポは駅で待ち合わせをすることになったが、お互いが違う改札口で待っていたため、会うのにすこし手こずってしまった。なんとか会えた彼女は、花柄のワンピースを着ていた。

何を着ても似合わないということが悩みとのことで、体型を隠すためにふんわりとした服を着ているのだとも思った。数分歩くと、目的の居酒屋に着いた。

店内は賑やかで、入った瞬間に失敗したと思った。ガヤガヤし過ぎていて、お互いの声が聞きとりにくそうで、アポには不向きであろうことを悟った。カウンター、テーブル席はほぼ埋まっていたが、予約していたため、テーブル席に案内された。

やはり向かい合うと可愛いさが目立つ。とりあえず僕はビール、彼女はレモンサワーを頼み、刺身の盛り合わせともつ煮、それと旬のとうもろこしの天ぷらを頼んだ。

料理が運ばれてくるまで、マーベルのどのキャラクターが好きか?という話になり、僕はインクレディブル・ハルクの変身前の男と答えた。案の定、彼女の反応は薄かった。

続々と料理が運ばれてきた。とうもろこしの天ぷらを食べ始める頃、彼女は不器用な事を自覚しているようで、芯から上手く粒をかじり取れないことを気にしていて、きゅんとした。

お店の都合で席の移動をお願いされ、カウンターに移ることになった。彼女の顔を正面から見れないのは残念だったが、隣合わせの方が声が聞き取りやすいと思ったので了承した。

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