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第三十四景 マッチングアプリ大戦記 episode3

「3人目 Nさん 20歳半ば ?似」

2人目のYちゃんと途中まで平行していた人がNさんだ。正面、横顔が分かっていたし、かなり安心感があったが、Yちゃんを好きなってしまったため、1回きりで放置してしまった。

この人はとても小さくて150センチなかったので、そんなに大きくない僕とでも20センチは違った。立ったままだと見下ろす必要があって、首が疲れた。

1回きりになってしまったアポは、夜ごはんでもつ鍋を食べに行った。ちょうど寒くなりかけて、鍋がおいしそうな季節になっていたが、当日はまだ暑かった。

例のごとくカウンター情報を信じていた僕はカウンター席を予約した。当日、待ち合わせの15分前に店に到着した。しかしこの人も待ち合わせ時間に15分くらい遅れた。30分待った。そこはちょっとがっかりした。

店は靴を脱ぐスタイルで面倒だった。彼女は足も小さく、小さい子供用の靴下を履いていたが、ちょっと汚かった。通されたのはカウンター席ではなくカップルシートだった。聞いてない。カップルシートとカウンター席は別物だ。

仕方ないので、カップルではないのにカップルシートに入り込んだ。もつ鍋とお茶とジュースを頼んだ。ほどなくして鍋がセットされ、ぐつぐつし出した。そして色々としんなりしてきたので、火を弱める。

器にとりわけ、いただきます!まずは、もつだ。一口分を口の中に入れる。もぎゅもぎゅ。美味い美味い。次はキャベツとニラをまとめて口に入れた。いくらでも食べれる。美味い。そして次は、豆腐。ただただ美味い。

もつ鍋に舌鼓を打っていると彼女の様子がおかしい。なんだか顔をしかめている。聞いてみたら、歯列矯正をしているようで、タイミング悪く次の段階に進んだらしく、口の中が痛いらしい。

僕は歯列矯正はしたことがないので、想像するしかなかったのだが、噛み切れたかよく分からないもつは最悪のチョイスだったと悟った。

しかし、僕は食べられないものはないか事前に聞いて確かめるほど、お店選びは慎重にしているので、その時に申告してくれればよかったのになあと思ったが、仕方がない。

食べることが苦痛なら〆を食べる余裕があるはずもない。その感情は、僕に伝染してしまって一刻も早くお店を出たかった。

もうこの店には用がなかったので、もつ鍋を食べ終わったら、店を出ようと思った。店の出口に向かう。彼女が靴を履く途中、また靴下が見えてしまった。やはり汚い。

外に出た後、彼女は方向音痴でどこに車を停めたか分からなくなってしまったようだ。僕にも分かるはずもなかったけど、一緒に探しましょうか?と一応申し出たが、断られた。なぜだ?

ちょっとしょんぼりしつつ、まだ空いているお腹を満たすためにラーメンを食べることにした。動物系と魚介系が混じり合ったスープのラーメンはどこか口に合わないように感じた。それがその時の感情のせいなのか、ラーメンのポテンシャルなのかは、僕には分からなかった。

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