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第三十三景 マッチングアプリ大戦記 episode2-2

3回目のアポは、映画に行ったが一度すっぽかされ、キャンセルできずに2人分の料金を払い、ひとりで見た。思ったより映画がつまらずひとりで見てよかったなあと思いつつ時間を無駄にしてしまったことを後悔した。

リベンジで見に行った時には、そのことを言わずに黙って見た。どちらも原作小説があるものだったのだけど、原作の方が面白くて残念だった。

4回目のアポは旅行に行くことになった。僕は付き合っている頃の感覚が抜けきらずに一泊旅行に誘う癖がある。変な気を起こすつもりは全くなく、長く一緒にいることで分かることもあるからだ。

コテージを借りて、鍋パーティーをすることになっていたので、僕はコーヒー焼酎を仕込んで自慢しようと思っていた。ワクワクして眠れない夜が続いた。

ワクワクしすぎて待ちきれずに、一泊旅行の練習をしようと意味の分からないことを口走ってしまった。要はホテルに泊まって、映画でも見て、一緒に寝ようということだった。

よく分からないが彼女は承諾してくれた。しかし僕は鈍いので真意は計りきれずにいた。

金曜日の雨の夜だった。そこらへんでお酒と夜食を買い、きらびやかなホテルへ向かった。いっぱいだったが、運よく準備中の部屋があったので待つことにした。20分くらい待っただろうか?部屋が空いた。

よく知らない人とそういう場所に入る経験はほぼ皆無に等しいので、めちゃくちゃ緊張していたと思うけど、涼しい顔をしていたのかもしれない。

買った酒と持ち寄った酒を飲みながら、映画を見た。名前を思い出せないのがもどかしいが、幼少の頃に起きた事件のトラウマにより忘れてしまった記憶を徐々に取り戻していく話だった気がする。

映画を見る彼女は、驚いたり、効果音を言ったり、ひとりで騒がしかったけど、それはそれでやはり可愛かった。なんでも可愛いと思えた。

見終わって、彼女が風呂に入っているときに、お菓子や空き缶を片付けた。缶を手に持ったとき、2センチくらい残っていた。彼女が飲んだ全ての缶がそのような具合だったのでゾッとした。

何事もなかったかのように片付け、僕も風呂を済ませ、同じベッドに入った。僕は寝るだけだと思っていたけど、こういう部屋で男女が同じベッドに入る場合はやっぱりそういう事をした方がいいのだろうか?と考え続けた。

暑くて寝苦しく、そして考え、答えを出せずにいるうちにうとうとしていた。そして気づいたら夢精していた。

寝返りを打つ。彼女の顔が目の前にある。平静を装い、目をつむる。突然彼女の顔が近づいてきて、僕の唇に唇を当てる。

え?その合図じゃないんですけど?そういうことするんですか?と僕は焦る。なにより僕は夢精している。

そのあとは直前までしたけど、最後まで出来ない理由は言わなかった。僕はずるい。

結局お互いに朝まで眠れなかった。お昼前にホテルを出て、そばを食べた。そして近くにあった小さい動物公園を見て回っている途中にすごい雨が降り出した。一緒の傘に入って車に急いで戻った。

彼女を彼女の家の近くのコンビニまで送って別れた。いざ付き合おうとすると終わるのは本当のことだったんだ。

彼女の姿を見るのはそれが最後になった。

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