うつつ さきこ

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瞳の奥のブルー3

子どもの頃の休日は日曜日だけだった。 その日の朝ごはんはいつもお父さんが作ってくれた。 栄養価とかバランスとかそんなことよりも気分まかせ その時のテンションが上がるものというのが お父さんの朝食メニューを決めるのに一番重要で たこ焼き器でホットケーキミックスを焼いて 中にソーセージやチーズを入れたり いちごジャムやチョコレートが入ってる時もあって コロンとして熱々に焼いたものを紙コップに入れて手渡してくれる。 それを手でつまんで食べるのだ。 お天気の良い日には、青色のカーテン

    • 瞳の奥のブルー 2

      いつからか全く見なくなったけど、小さな頃繰り返し見る夢があった。 それはどこか遠い昔のどこか海の近いところで、石畳の道。 村なのか?町なのか?規模も、どこの国かも、どんな時代なのかも はっきりとはわからない。 緩やかな坂道があってそれを下る幅2メートルくらいの道。 白い壁、ベージュの大きめの丸っこい石を敷き詰めた足元。 左に曲がる緩やかなカーブに入る手前、一瞬突き当たりに見える正面に 真っ白い大きな壁があって、それに沿って黒っぽい木の椅子が三つ。 その塀の上に真っ黒い猫が昼寝

      • 瞳の奥のブルー

        子どもの頃、日曜の朝が好きだった。 平日、早朝から働き詰めの両親が、日が高くなるまでゆっくり寝ていて、 親子で川の字になって眠る寝室の、カーテンの色が田舎の月夜の青い空のような 深く優しい色だった。 レモンイエローのようなレースのカーテンと重なって、太陽の光。 隙間から差し込む光線。 「きっと海にいる魚はこんなふうに空を眺めてるんだろう」と 妄想するのが好きだった。 いつまでもそうしていられた。 今でも思い出す、カーテンの色、大きな水のタンクを入れる木目のクーラー。 その上に

      瞳の奥のブルー3