瞳の奥のブルー

子どもの頃、日曜の朝が好きだった。
平日、早朝から働き詰めの両親が、日が高くなるまでゆっくり寝ていて、
親子で川の字になって眠る寝室の、カーテンの色が田舎の月夜の青い空のような
深く優しい色だった。
レモンイエローのようなレースのカーテンと重なって、太陽の光。
隙間から差し込む光線。
「きっと海にいる魚はこんなふうに空を眺めてるんだろう」と
妄想するのが好きだった。
いつまでもそうしていられた。
今でも思い出す、カーテンの色、大きな水のタンクを入れる木目のクーラー。
その上に母の手編みのレースと、白いポットに入ったポトス。
黒いラジオ。クッキーの缶。
ガラスの時計。吹き付けの白い凸凹な天井。
両親の寝息。どこかで誰かが投げるボールが弾む音。
同じ団地の上のフロアの人が降りる階段の足音、話し声。
誰かの朝はもうとっくに始まっていて、私はぼんやり海の魚と空を眺めていた。

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